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7-3
土曜日、午後。
スタジオでの練習を終えて、そのまま小宮家にお邪魔することになった。
ご両親は文化祭当日をきっちり休むために、きょうは休日出勤なのだという。
部屋に入るなり、達紀は俺をベッドへぽいっと投げ、そのままのしかかってきた。
「わ! 何!?」
「あお。なんかね、僕ね、ダメ」
ぎゅうぎゅうと両手でほっぺたを伸ばされて、涙目になる。
「いたた……なに、俺何かした?」
「してない。僕が悪いんだけど、なんかもう」
うー、とうなった達紀は、俺の胸の辺りにぐりぐりと頭を押しつけてきた。
「部長はあおのこと狙ってる気がするし、基也はあおの生足で客寄せしようとするし、前田くんは毎日同じクラスで……なんかもう……」
「部長? 狙ってる? 何が?」
「きのう、月曜のムービー撮影の件で打ち合わせに行ったら、ずーっと藤下くん可愛い、達紀ちゃん何とかしてって言ってて」
俺はもやっとして聞き返す。
「あの……部長はなんで達紀のことちゃんづけしてるの?」
「いとこだから。あー、やっぱり血縁があると、あおのこと可愛く見える遺伝子になってるのかな!?」
頭を掻きむしる達紀も衝撃だし、いとこという重大情報をさらりと言って流したことも衝撃だ。
……と考えて、納得する。
そりゃ、美男美女なわけだ。
「あの、達紀?」
「自分がこんな嫉妬の権化だなんて知らなかった」
達紀は俺の服のえりをぐいっと引っ張ってずり下げ、鎖骨の下辺りに唇を寄せたと思ったら、そのまま強く吸い上げた。
「わ、ちょっと、え!?」
「あおは僕のものだし」
キスマークなんて、実物では初めて見た。
まさか、自分がつけられるなんて思ってもみなかったけれど……。
「ね、このままエッチしてもいい?」
大胆すぎる誘い方。こんなのも初めてだ。
「ん、いいけど。でもなんかえっと、誤解? を解いておきたいんだけど」
「うん、あおが言いたいことは分かるよ。自分でも、不条理なこと言ってるって分かってるし」
「別に不条理とかじゃないけど……部長は俺みたいな陰キャが物珍しいだけだろうし、基也はよく分かんないけど、祐司はクラスメイトだから1日に一緒にいる時間が長いだけだから。本当は、できるなら達紀と一緒にいたいよ」
達紀は「うん」と繰り返しながら服をめくり、あちこちにキスマークをつけている。
おへその下、脇腹……そして、胸に吸い付く。
「ん、はぁ、達紀。どうしてそんなに焦ってるの? 俺みたいな奴のこと好きなの、達紀だけだよ。俺も、その……た、達紀しか好ちじゃにゃいしっ」
急に恥ずかしくなって、変なところで盛大に噛んでしまった。
……と、さっきまでなんだか切羽詰まっていた達紀が、ふふふと笑い出した。
「ん、可愛い。ごめんね、こんな独占欲丸出しで。付き合ったの初めてで、好きな気持ちが抑えられないのかも。あはは、かっこ悪い」
予告なしに乳首を舌の先でチロチロとなめられて、甘ったるい声を漏らしてしまう。
「ん……、達紀はかっこいいよ。王子さまみたいだもん」
「王子はこんなことしない」
そう言いながら、固くなったそれを、ズボン越しに太ももに当ててきた。
そして妖しい手つきで、上半身をなで回す。
「こんな俗物で煩悩まみれの王子なんて、いるわけない」
「あ、……ん、はぁっ」
達紀はうまいこと俺をころころ転がしながら、服を全てはぎ取った。
俺は俺でどんどんエッチな気持ちになってきてしまい、思わず、四つん這いで頭をべったりシーツに押し付けた状態で、お尻を差し出すようにしてしまった。
「達紀、なか、欲しい。気持ちが抑えられないなら、抑えなくていいから、いっぱいして欲しくて」
言いながら興奮して、まだ触られていないちんちんがふるりと震えるのが分かる。
達紀の表情は分からないけど、背中につーっと這わせる舌が熱くて、身悶えてしまう。
達紀はローションをとってきて、手に馴染ませたと思ったら、お尻の中と玉の裏筋をぬるぬると触り始めた。
「はあ、ん……っ」
「筋のところ、期待しちゃうでしょ」
「あ、ぁっ、……ん、中、もうちょっとして」
決定的でない触り方で、ぞわぞわする。
くちゅくちゅと音がして、俺はますます、ねだるようにお尻を高くしてしまう。
「可愛いね。欲しい?」
「うん……エッチなことして欲しい」
ごろりと寝転がされて、そしたら、唇に何度もキスしてくれた。
うっとりと目が細められていて、欲に濡れるこの瞳は、俺以外誰も知らない。
俺は口を大きく開けた。
そして、あごのあたりを指差す。
「ちんちん、ここに突っ込んで」
大胆なお願いをすると、達紀は一瞬目を丸くしたけど、生唾を飲んでひざ立ちになり、そろっと差し込んできた。
ゆっくりと腰を前後する。
ちょっと苦しくて、でもなんだか征服されているような気持ちになって、興奮した。
「ん、んぐ……っ、」
「……っはあ、あおの口の中、あったかい」
達紀はちんちんを引き抜き、今度は俺のものをしごき始めた。
さっきのローションがまだ手に残っていて、ぬちぬちと音を立てながら、形に沿って刺激していく。
「あ、……ぁっ、はぁ、」
「可愛い顔して、急にいやらしいお願いしてくるんだもん。びっくりしちゃった」
「あぅ、イッちゃいそ……」
お尻の穴の中もじゅぼじゅぼと音がしていて、下半身全部気持ちいいみたいな。
「どういう風にしたらイケそう?」
「……ちんちんしごきながら挿れて、中の良いところいっぱい突いてくれたら」
「そんな器用にできるかな」
達紀は真面目な顔でコンドームをはめ、ずぷずぷと入ってきた。
俺はそれだけで身悶える。
「……ぁあッ、あん、はぁ……」
「動いていい?」
俺が余裕なくこくりとうなずくと、達紀は、慣らすように小さく腰を動かした。
それだけなのに、声が我慢できない。
「あ、あ……、あぁ」
「ん……うまく当たらない」
「っ、だいじょぶ、全部気持ちいい」
真っ赤な顔で、浅く呼吸しながらお腹の奥を突く達紀は、『あおは僕のものだ』と訴えているように見えて、キュンとしてしまった。
思わず俺は、達紀のしっかりした腕につかまる。
「はあ……達紀、好き。普段、恥ずかしくて、あんまりいっぱい言えないけど……ほんとにほんとに、好き……っ」
達紀は俺の口をキスでふさいで、パンパンと音がするくらい、激しく腰を振った。
たまらず、声の裏返った嬌声を上げる。
「も、ぁあ、……イッちゃぅ……っ」
達紀は息を荒げて、何も言わずに大きくうなずく。
スピードをつけてちんちんをこすられ、思わずあごを跳ね上げた。
「だ、ぁあッ、……イクッ……!ぁあああっ、……!……ッ、んぁあ!……!……っ」
派手に精液をまき散らす。
達紀は手を緩めないまま、突き続ける。
「やだ、も、……っ、イッてる!やあっ、んああ……ッ!…………ぁああっ!」
勢いよく、精液ではないものが噴き出した。
「……っ、あお、可愛い。好き」
達紀は、満足そうにつぶやいて、俺の中に吐き出した。
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