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 土曜日、午後。  スタジオでの練習を終えて、そのまま小宮家にお邪魔することになった。  ご両親は文化祭当日をきっちり休むために、きょうは休日出勤なのだという。  部屋に入るなり、達紀は俺をベッドへぽいっと投げ、そのままのしかかってきた。 「わ! 何!?」 「あお。なんかね、僕ね、ダメ」  ぎゅうぎゅうと両手でほっぺたを伸ばされて、涙目になる。 「いたた……なに、俺何かした?」 「してない。僕が悪いんだけど、なんかもう」  うー、とうなった達紀は、俺の胸の辺りにぐりぐりと頭を押しつけてきた。 「部長はあおのこと狙ってる気がするし、基也はあおの生足で客寄せしようとするし、前田くんは毎日同じクラスで……なんかもう……」 「部長? 狙ってる? 何が?」 「きのう、月曜のムービー撮影の件で打ち合わせに行ったら、ずーっと藤下くん可愛い、達紀ちゃん何とかしてって言ってて」  俺はもやっとして聞き返す。 「あの……部長はなんで達紀のことちゃんづけしてるの?」 「いとこだから。あー、やっぱり血縁があると、あおのこと可愛く見える遺伝子になってるのかな!?」  頭を掻きむしる達紀も衝撃だし、いとこという重大情報をさらりと言って流したことも衝撃だ。  ……と考えて、納得する。  そりゃ、美男美女なわけだ。 「あの、達紀?」 「自分がこんな嫉妬の権化だなんて知らなかった」  達紀は俺の服のえりをぐいっと引っ張ってずり下げ、鎖骨の下辺りに唇を寄せたと思ったら、そのまま強く吸い上げた。 「わ、ちょっと、え!?」 「あおは僕のものだし」  キスマークなんて、実物では初めて見た。  まさか、自分がつけられるなんて思ってもみなかったけれど……。 「ね、このままエッチしてもいい?」  大胆すぎる誘い方。こんなのも初めてだ。 「ん、いいけど。でもなんかえっと、誤解? を解いておきたいんだけど」 「うん、あおが言いたいことは分かるよ。自分でも、不条理なこと言ってるって分かってるし」 「別に不条理とかじゃないけど……部長は俺みたいな陰キャが物珍しいだけだろうし、基也はよく分かんないけど、祐司はクラスメイトだから1日に一緒にいる時間が長いだけだから。本当は、できるなら達紀と一緒にいたいよ」  達紀は「うん」と繰り返しながら服をめくり、あちこちにキスマークをつけている。  おへその下、脇腹……そして、胸に吸い付く。 「ん、はぁ、達紀。どうしてそんなに焦ってるの? 俺みたいな奴のこと好きなの、達紀だけだよ。俺も、その……た、達紀しか好ちじゃにゃいしっ」  急に恥ずかしくなって、変なところで盛大に噛んでしまった。  ……と、さっきまでなんだか切羽詰まっていた達紀が、ふふふと笑い出した。 「ん、可愛い。ごめんね、こんな独占欲丸出しで。付き合ったの初めてで、好きな気持ちが抑えられないのかも。あはは、かっこ悪い」  予告なしに乳首を舌の先でチロチロとなめられて、甘ったるい声を漏らしてしまう。 「ん……、達紀はかっこいいよ。王子さまみたいだもん」 「王子はこんなことしない」  そう言いながら、固くなったそれを、ズボン越しに太ももに当ててきた。  そして妖しい手つきで、上半身をなで回す。 「こんな俗物で煩悩まみれの王子なんて、いるわけない」 「あ、……ん、はぁっ」  達紀はうまいこと俺をころころ転がしながら、服を全てはぎ取った。  俺は俺でどんどんエッチな気持ちになってきてしまい、思わず、四つん這いで頭をべったりシーツに押し付けた状態で、お尻を差し出すようにしてしまった。 「達紀、なか、欲しい。気持ちが抑えられないなら、抑えなくていいから、いっぱいして欲しくて」  言いながら興奮して、まだ触られていないちんちんがふるりと震えるのが分かる。  達紀の表情は分からないけど、背中につーっと這わせる舌が熱くて、身悶えてしまう。  達紀はローションをとってきて、手に馴染ませたと思ったら、お尻の中と玉の裏筋をぬるぬると触り始めた。 「はあ、ん……っ」  「筋のところ、期待しちゃうでしょ」 「あ、ぁっ、……ん、中、もうちょっとして」  決定的でない触り方で、ぞわぞわする。  くちゅくちゅと音がして、俺はますます、ねだるようにお尻を高くしてしまう。 「可愛いね。欲しい?」 「うん……エッチなことして欲しい」  ごろりと寝転がされて、そしたら、唇に何度もキスしてくれた。  うっとりと目が細められていて、欲に濡れるこの瞳は、俺以外誰も知らない。  俺は口を大きく開けた。  そして、あごのあたりを指差す。 「ちんちん、ここに突っ込んで」  大胆なお願いをすると、達紀は一瞬目を丸くしたけど、生唾を飲んでひざ立ちになり、そろっと差し込んできた。  ゆっくりと腰を前後する。  ちょっと苦しくて、でもなんだか征服されているような気持ちになって、興奮した。 「ん、んぐ……っ、」 「……っはあ、あおの口の中、あったかい」  達紀はちんちんを引き抜き、今度は俺のものをしごき始めた。  さっきのローションがまだ手に残っていて、ぬちぬちと音を立てながら、形に沿って刺激していく。 「あ、……ぁっ、はぁ、」 「可愛い顔して、急にいやらしいお願いしてくるんだもん。びっくりしちゃった」 「あぅ、イッちゃいそ……」  お尻の穴の中もじゅぼじゅぼと音がしていて、下半身全部気持ちいいみたいな。 「どういう風にしたらイケそう?」 「……ちんちんしごきながら挿れて、中の良いところいっぱい突いてくれたら」 「そんな器用にできるかな」  達紀は真面目な顔でコンドームをはめ、ずぷずぷと入ってきた。  俺はそれだけで身悶える。 「……ぁあッ、あん、はぁ……」 「動いていい?」  俺が余裕なくこくりとうなずくと、達紀は、慣らすように小さく腰を動かした。  それだけなのに、声が我慢できない。 「あ、あ……、あぁ」 「ん……うまく当たらない」 「っ、だいじょぶ、全部気持ちいい」  真っ赤な顔で、浅く呼吸しながらお腹の奥を突く達紀は、『あおは僕のものだ』と訴えているように見えて、キュンとしてしまった。  思わず俺は、達紀のしっかりした腕につかまる。 「はあ……達紀、好き。普段、恥ずかしくて、あんまりいっぱい言えないけど……ほんとにほんとに、好き……っ」  達紀は俺の口をキスでふさいで、パンパンと音がするくらい、激しく腰を振った。  たまらず、声の裏返った嬌声を上げる。 「も、ぁあ、……イッちゃぅ……っ」  達紀は息を荒げて、何も言わずに大きくうなずく。  スピードをつけてちんちんをこすられ、思わずあごを跳ね上げた。 「だ、ぁあッ、……イクッ……!ぁあああっ、……!……ッ、んぁあ!……!……っ」  派手に精液をまき散らす。  達紀は手を緩めないまま、突き続ける。 「やだ、も、……っ、イッてる!やあっ、んああ……ッ!…………ぁああっ!」  勢いよく、精液ではないものが噴き出した。 「……っ、あお、可愛い。好き」  達紀は、満足そうにつぶやいて、俺の中に吐き出した。

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