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第五章 第1話

 白い肢体に上着だけを纏った扇情的な姿の教授の姿を満足げに眺める。病院とは違ったオレンジ色の照明を落とすことはしない。紅潮した頬とこめかみに浮いた汗が教授の興奮を知らしめているようだった。 「ほら、ココも、ココもこんなにして、それでも感じていないとでも仰るのですか?」  わざとゆっくり左手で胸の尖りを、そして右手で先端を、円を描くように愛撫する。胸の尖りは充血して凝っていた。最も感じ易い先端部分からは湿った音がする。 「感じて…なんか、いないっ!」  目を閉じた香川教授は快感を逸らすように枕に預けた頭を打ち振る。その強情な態度はますます祐樹のカンに触った。 「ココをこんなに濡らして…説得力はありませんね。ほら、こんなに淫らな音がする」  縛めて絶頂を極めないようにさせたそれをわざとねっとりと触る。静かな部屋に湿った音がやけに響く。 「こんなにヌルヌルにして…それでもまだ感じていないとは…意外と貪欲な人ですね。見かけに寄らず…」  先端を悪戯する手は緩めずに、耳元で囁く。耳に呼吸を感じたのか自分よりも華奢な身体がひくりと跳ねた。その動作を利用して枕を取り去った。 「何を…」  目を見開いて祐樹を見る瞳は相変わらず強気な光を湛えていた。澄んだ瞳は潤んでいたが。 「そう、そのまま。目を開いていて…満足したいのでしょう?仰せのままにしますから」  枕を教授の腰の下に敷く。が、羽枕では満足に腰の位置は高くならない。舌打ちしてベッドに二個用意されている枕も使って腰を上げさせた。 「こちらはどうでしょうね。ああ、俺の唾液と教授の先走りの雫で綺麗に光ってますが、慎ましく閉じていますね」  トーンを下げて続ける。 「もっと脚を広げて下さい」  その言葉に一瞬躊躇した香川教授だったが、意を決したように時間をかけて脚の間隔を広げていく。  唯々諾々と自分の言葉を聞く教授にもう大丈夫だろうと手の戒めを解いた。その途端安堵したような吐息が聞こえた。 「折角手を使えるようにしましたから、膝を持ってもっと良く見えるようにして下さい、教授」 「それは…」  形の良い眉を顰めた教授に、とどめのように宣告する。 「満足したいのでしょう?そう言ったのは教授自身ですよ…自分で言ったことは責任を取るのが上に立つ人間というものでしょう」  諦めたように手を自分の膝裏に移動させ、先ほどよりも時間をかけてゆっくりと開く。 濡れてはいるが、蕾は固く閉じている。開花までまだ間がある梅の蕾の薄紅色をしている。  啜り込むような息を漏らした教授のこめかみに口付けを落とした。唇へのキスをする気にはまだ成れなかった。  表情といい態度といい男性に慣れているとは思えない。蕾も慎ましく閉じたままだった。  が、満足させると豪語してしまったからには後には引けない。今夜一晩で彼の全てを暴きたかった。  このクラスのホテルになるとアメニティグッツも充実しているハズだ。バスルームに入り、目当ての物を探す。潤滑剤になるものをと。探すまでもなかった。目の前に白い乳液のボトルが有った。このホテルは青が基調なのか、ボトルのフタも青い。  それを持って寝室に戻ろうとした。教授がどんな顔をしているのかフト好奇心がわいたので、白いバスルームの扉を僅かに開け室内を窺った。 ――激怒しているか、それとも後悔しているか?――  そう思って教授の顔を見た。わざと室内の明かりは全て点けてある。  自分の脚こそ持ってはいなかったが――これは慣れた人間でも長い時間は辛い姿勢だ――教授の幾分薄い唇は微笑の形を浮かべていた。  教授という人間が全く分からなくなった。これだけ部下に良いように命令され、屈辱的な体位を取らされたというのに、どうして仄かに笑えるのだろうか…。が、考えたのは一瞬で、ワザと音を立てて寝室に戻った。教授の顔も先ほどの笑顔の片鱗も浮かべていない。 「これから、教授の蕾を咲かせます」  そう言うと、先ほどのように自分の脚を持ち恥ずかしい部分を露わにした。  乳液のフタをねじると甘いながらもスパイシーな香りがする。容器は固いプラスチックらしく、押してもどろりとした液体は出て来ない。強く押しながら下を向けて振ってみた。  掌に充分なほどの油分が溜まった。それを右手の中指と人差し指に絡ませ、固い蕾を優しく解していく。触れた瞬間は身体を固くした香川教授だったが、思い直したように身体を弛緩させる。  清楚と表現したくなる蕾だった。内部は桜色をしている。回りをゆっくりと撫で回し、特に感じる、俗に言う蟻の戸渡りを何回もなぞった。感じるらしく、頭を打ち振るのと同時に、手を伸ばして祐樹の手の動きを阻止させる積りか腕を掴んだ。が、力を込めずに離れていった。 「教授の蕾を咲かせてみますよ。満足させますから」  一方的に宣言すると、咽が動いたが言葉は発せられなかった。  乳液を足し、中指を内部に挿入する。内部は熱く自分を誘っているようだったが、指一本でキツいほどだ。  とても男性との性交渉に慣れているとは思えない。先ほど見た桜色の内部も。不思議に思ったが、こうなっては後には引けない。手っ取り早く前立腺を刺激した。

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