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第五章 第2話

 前立腺――ここは男性にとっては内部で最も感じる部位だ。今の教授の状態なら甘美な地獄を味わうだろう。射精出来ないのだから…  挿入した指の第一関節辺りにそれは有る。教授の体格から考えてしてこの辺りだろうと強く押してみる。 「あっ」  声が切羽詰ったものになり、祐樹はほくそえんだ。どうやら自分の予測は正解だったらしい。それに、ソコを押されて狼狽しているような雰囲気だ。慣れてないのだろうか?  彼の言動は妙に初心なところもある。 「教授の感じるところはココですね。もっと欲しい?」  耳元でそそのかすように囁くが、強情を張ったように頭を拒否の形に動かした。 「こんなに感じているのに…先っぽのヌルヌルしたモノ…量が多くなってますよ。しかも白いモノまで混じっている」  言葉で攻めても感じるのだろうか。睾丸まで固くしている。が、決して弱音は吐かない。  そういう態度にも…そそられる。  乳液を足しながら二本の指で内部を蹂躙する。前立腺を押す指を二本に増やした。 「あ…ああっ!」  切羽詰った喘ぎ声と共に、自分の膝に手をかけていた指もひくりひくりと痙攣している。もちろん脚も。  指に口付けし、「このまま、持っていて下さい、教授」と耳朶にそそのかすように囁いた。  が、力が満足に入らないらしい。時々手が滑り、脚がベッドに下ろされる。   ジャケット一枚しか身につけていない教授の全身が悦楽の証拠を余すところなく表現している。  ちらりと覗く真っ赤に染まった胸の尖り。汗ばんだ全身は紅色に染まっている。  表情を観察しながら執拗に前立腺を愛撫していると、傲慢な言葉しか吐かない薄い唇から彼には似合わない哀願の言葉を切れ切れに紡ぐ。 「もう…ソコは…止めて…欲しい」  その言葉を聞いた途端、先ほどよりもその部位を強く押した。  教授の嬌声が落ち着いた雰囲気のホテルの部屋にこだまする。 「止めて下さい…でしょ」  押す手は休めずにそう言った。  香川教授は、悔しそうに薄い唇を噛み締めて一瞬の躊躇の後言った。 「…頭が…おかしくなりそうだから…ソコは………止めて下さい」  彼の内部は熱くて、そしてヒクヒクと収縮している。祐樹の指を歓迎しているようだった。 「分かりましたよ。教授…仰せのままに。でも、教授の内部は私を歓迎しているようですが…」  そう指摘すると横顔をベッドに隠す。 「満足…ですか?」 「いや、まだだ、私は満足していない…」  ベッドに半分顔を埋めているためくぐもった声で強気に言う。 「最後までが、ご希望ですか…教授」 「そう…だ…っ。満足させてみろ」 「と仰っても、説得力は先ほどよりも、もっとありませんね。先端のヌルヌル、触っているこちらの掌だけでなく手首まで滴ってきていますよ。  人は見かけに寄らないんですね。あんなに高潔そうな人がこんなにして。  しかも私の掌にソレを押し付けてきていますよ…」  返事はない。顔全部を器用にベッドに押し付けていたのだから。  敢えて着衣は脱がず、スラックスのジッパーだけを下げた。自分自身を取り出した。 「お待ちかねのモノですよ。良く味わって下さいね、教授」  その言葉に、彼の身体が強張ったのが分かった。

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