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第九章 第3話
彼の極上の内部を味わうことも忘れて、前立腺を力加減もせずに突いた後、内奥を強く押し上げた。
「あっっ。つぅっ!」
予想外のキツさだったのか彼は絶頂には達せず、絶頂前の苦しげな顔をしている。確かに過去の経験が少なければ、強ければイイというものでもないらしい。その苦痛に歪む顔も…劣情を・・・刺激する。
数回、彼の甘やかな苦痛に歪む顔に嗜虐心を自覚して突き上げる。
「慣れればね…この程度の刺激でしか…満足出来なくなりますよ」
「は…早く慣れるようにするからっ…。だからっ…今はっ…もう少しゆっくりっ」
苦痛のせいか涙がとめどなく溢れている。淫らで可憐な表情に祐樹もゆっくりとだが理性が戻ってくる。
しかも彼は「慣れる」と言ってくれたのだから…
「済みませんでした。今度は、ゆっくりと突いて差し上げますから……貴方が好きだった方のことを知っている人は居ない…でしょうね?」
彼はそんなに饒舌な方でもない。しかも、この性癖だ。恋愛話はしないだろう、学生時代からの友人である柏木先生とも…。それにゲイ同士の友人なども居ないようだし、過去の男性の話をする相手は居ないと思いつつも聞いてみずにはいられなかった。
「…はっきりと、名指しはしていないが…長岡先生にはそれとなく話したことはある」
祐樹の態度がおかしいと思ったのだろうか?少し心配そうな顔をして彼は言った。そうでなければ、快楽を極める直前になってこんなに長く話すことはないだろう。
「それに、今は祐樹とこうしている…そしてこんなになっている」
彼の震える指が祐樹の指を誘導して彼の先端部分に導いた。ソコは多すぎるほど涙を零し茎へと伝っている。それを2人の指で確かめるように動かした。指の動きに彼のモノも悦楽に震えている。
「これだけじゃ…ダメか・・・?やはり言葉にしなければいけないか?」
「いえ、今は充分です」
彼のモノを撫でながらそう言った。これ以上、今は聞けそうにない。
「では、突いてくれ…先ほどから気が狂いそうに…祐樹が…欲しい」
彼の雫に濡れた掌を重ねる。濡れていない方の掌も。手を握って唇を近づける。
「キスしながら…逝っていいですか?」
そう言うと、彼は淫らで清純な顔をキスのしやすい角度に傾けた。キスも慣れてきたようだった。
唇と両手のひらを重ねて、ゆっくりと腰を上に上げる。前立腺を太いモノで擦った時は、腹部に触れている彼のモノが切なげに触れた。
「ああっ。いいっ。もっと激しくてもいい・・・からっ。もうっ、もうっダ…」
「私もです」
彼は細い首を後ろに仰け反らして、それでもなお可憐な声を出している。必死に唇を離さないでいようとする態度が健気だった。
最後の一突きを…と思っていると、彼は凄絶な絶頂の色気を放ち、先に達した。
その欲情の頂点に達しながらもなお清潔さを失わない稀有な美貌を瞳に焼き付けると、脱力して少し緩んだ極上のシルクの肌触りを楽しみながらゆっくり突き上げ、頂点を極めた。
内部に注ぎ込まれた熱い飛沫を感じたのか、彼がゆるゆると瞳を開けていつの間にか外れてしまっていた両手を愛しげに背中に回して抱き締めてくれる。
力を失った祐樹自身を抜こうとすると、細い声がした。
「あ、もう少し…私の中に…」
「分かりました」
そう言って口付けた。繋がりは解かないままで、彼をゆっくりとベッドに横たえる。
「重いだろう?私が上に乗ると」
「いえ、聡の身体ですから…重みと熱さが心地いいですよ。今夜は…このままで」
その言葉を聞くと、彼は安堵したかのように花のような微笑を浮かべた。が、一瞬真剣な瞳で祐樹を見た。
「私の・・・身体…失望…した…か?」
「まさか。さんざん申し上げたでしょう?貴方の身体は私が知っている中で極上です。最高でしたよ」
「そうか…。なら…いい」
語尾が消えるように掠れると、彼は安らかな顔で眠りの国に入っていったようだった。
「お休みなさい。いい夢を」
額にキスをした。彼が二度と悪夢に悩まされないように。
祐樹は眠れそうにはなかった。彼がずっと片思いしていたという事実に半ば呆然としていた。しかし、彼の成就しなかった恋なら、みだりに聞いてはならないと心の中で戒めた。
彼が「高嶺の花」と呼んだ人とは、何もなかったのだろう…。
それならば、彼の身体の中を蹂躙する許可を得た祐樹は、肉体的な最高の悦楽を彼に植え付けて…自分以外の誰とそういうコトをしても祐樹が一番良いと思わせるようにしたいと思った。精神的に敵わないのなら…肉体的だけでもいいので、その人に勝ちたかった。
彼の身体の重みが気持ち良い。それに今も彼の蕾の中に収まっている祐樹自身は、濡れた絹がヒタリを張り付くような快楽を得ている。
そういえば…初めて抱いた時よりも彼の身体は確実に抱き心地が良くなった。身体の外部と内部の感度が上がったような気がする。
クラブフロアで飲んだワインが今頃効いてきたのか…祐樹にも睡魔が訪れた。
眠る前に、彼の内部に飲ませた自分の白濁はともかく、彼の絶頂の証は祐樹の腹部と、彼のまだ薄桃色に上気した太腿に飛んでいる。睡眠から覚めたら祐樹は構わないが、彼が不快だろうと、無理に身体を捻って枕元のテッシュを取って拭った。
次に気が付いたのは朝だった。朝は…男の生理としてマズい。しかも、彼のシルクの肌触りが緩くもなくキツくもない絶妙の締め付け加減で祐樹を包んでいる。魂までもが包まれているような感じだった。つい、ソコに血液が集まる。
彼の目蓋が動き、覚醒は近そうだ。一回抜こうとした。するとぱちりと瞳が開き、淫らで清楚な内壁が滑らかに蠢動する。
「あ…抜かない…で…欲しい」
「どうして?疲れたでしょう?一晩中挿入していたわけですから」
「抜くと…せっかく祐樹から貰ったモノが零れるっ!」
恥ずかしいコトを言っている自覚があるのか、彼の内部も熱くなり、引き込むような動きを見せた。
先ほどから祐樹の胸に当たっている彼の胸の尖りは、手で触ってもいないのに、昨日よりも硬い感触だ。つい、手で触ってしまう。
薄い珊瑚色の清楚さは変わらないが、熱くて尖っている。掌で転がすとますます硬くなった。と同時に内壁も包み込む温度を変えるのが分かる。
「胸…どうしてこんなに感じているの?昨日よりも硬く尖っていますよ。ロクに弄ってもないのに」
「祐樹が…中に居る…からっ」
額に汗を浮かべて、自分の唇を無意識にだろうが紅い舌で舐めて彼は言った。
「もう一度、してもいいですか?」
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