198 / 403

第九章 第6話

 いつまでも彼の極上の内部に留まっていたかったが、何せ昨日からずっと挿入し続けだ。彼の身体は相当負担を感じているに違いない。 「抜きますよ…。とても良かったです…貴方の中は天国にいるみたいで…もっと味わっていたいのですが」  感じきって薔薇色に染まった耳元で囁く。彼のしなやかな肢体は絨毯の上にうつ伏せに横たわったままだった。そのあられのない姿も充分扇情的だったが。  彼の背筋が小刻みに震える。  そっと彼の身体から祐樹自身を引き抜く。今更だとは思ったが、彼の負担にならないようにゆっくりと。ベルベットの内部が名残惜しげに収縮する。祐樹が放った白濁と乳液も一緒に零れる。 「あっ…」  繋がりを解くと艶かしい声が上がった。余韻と未練が音色に混じっていると思うのは、祐樹の気のせいだろうか…。  祐樹の両掌には彼の放った白濁が溜まっている。 「たくさん出しましたね。教授、立てますか?手助けしたいのですが、両手がほら、こんな状態なので…」  彼の顔の近くに両手を差し出した。その潤んだ瞳が恥ずかしそうに逸らされる。 「大丈夫…立ち上がることは出来る…」  そう言って気だるげに上半身を起こし手で身体を庇いながら立ち上がるのを見ていた。 「あ、流れる」  彼の色香以外は何も纏っていない身体がひくりと震える。瞳を閉じて、中から流れ出すモノの感触を全知覚で感じているような彼の表情にただ見惚れる。  内部に放ったものが余程気になるのだろう。そういえば彼はずっと祐樹が放ったモノのことを気にしていたな…と今更ながらに思い出す。 「そんなに気になりますか?同性とセックスするとそこに注ぎ込むことくらい常識でしょう?」  彼は少し考え込むような様子を見せたが、意を決したようにいつもよりも早口で言った。 「直接注ぎ込まれるのには…慣れていない。祐樹が初めてだ…から」 「他の男性の時はどうして?その人の希望…ですか?」  最初の時に何も着けずに出していいと言ったのは彼だった。きっとそうされるのが好きなのだと思っていた。ただ、彼の過去の男性は多分アメリカ人だろうから…無防備なセックスは祐樹以上に嫌ったのかも知れない。 「いや…私の希望だ。………・・・…リスキーなことは…絶対に避けたかったから…」  最初のセックスの時に病気のことを聞いたのは自分だったな…と思い返す。それで彼は安心したのかも知れない。 「では、あなたのソコに初めて直接触れたのは私が最初の人間です…か?」  不覚にも声が震えた。彼は何も言わずに、ただ頷いた。 「何だかとても感動しました。抱き締めてキスしたいのですが、何分手がこの状態なので…」  自らの白濁を身体に付けられるのは抵抗があるだろうな…と思った。大胆なようで初心なところもあるこの人は特に…。 「構わない。食事に行く前にシャワーを使わせてくれるのなら」  今度は即答だった。昨日から潤み放しの瞳が色香を纏っている。 「それは、もちろん…。あなたの内部も洗ってあげる」  クラブフロアの朝食が終了する時間まではまだかなりある。まぁ、朝食時間が過ぎても、昼御飯用の食事が提供されるのだが…。  彼のほうからゆっくりと近付いて来た。鎖骨の上の情痕と胸の尖りが一番光を放っているようだった。特に昨日噛んだ右の方が…。どうせスグに洗い流すのだからと、自分に言い聞かせて白い液体を鎖骨と胸に落とす。 「紅いトコロに白い液体を垂らすと綺麗ですね。とてもそそられる」  彼の咽喉が悩ましげに上下した。 「ご自分の放ったものの方が乳液よりも感じますか?」  そう言いながら胸の尖りを指で弾くように愛撫する。指の動きに連動するかのように彼の顎が上を向く。色づいた吐息に誘われるように唇を貪った。唇と舌とを激しく交わらせた。  身体を密着させると彼の胸に咲いた紅い尖りが心地よく祐樹の肌を刺激する。手を背後に回して彼を強く抱き締めると、彼の手も祐樹の背後に回る。  唇を少し離して囁いた。口の動きが彼の唇を刺激するくらいの距離で。 「聡の身体を味わうのは二回目ですが、一回目よりも、より一層感じやすくなっていますね・・・。頭脳だけでなく、身体も覚えが良いようですね…こんなに素直で貪婪な貴方はとても素敵だ…それに…」  しっとりとした背中の感触を楽しみながら手を徐々に下にずらす。程なく彼の潤んだ場所に辿り着く。  昨夜からずっと従順に受け入れていた場所は彼が言っていた通り蜜を零している。指を置くだけで引き入れるような動きをする。 「貴方の秘密の場所は本当に絶品ですね…理知的で怜悧な普段の貴方がこのように乱れるなんて誰も想像出来ないです。どうして他の男性が手放したのか理解に苦しみますよ。ほら、もうこんなに自分で動いている。」  彼の濡れた絹の感触が自分の放った液体でさらに滑りが良くなっているのをいいコトに指で激しく蹂躪する。 「そんなことを…言ってくれるのは祐樹だけっ!あ・・・太腿にまで流れるっから…せめて部屋ではなく」  彼の短い爪が縋るように背中に立てられた。その強さが彼の欲望と比例しているようでとても嬉しい。 「分かりました。では浴室に行きましょう。」

ともだちにシェアしよう!