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第9話ポン引き

 占い師は獲物ではなく、自身のための餌を探していたのだった。  蟲と同調して人間を操るために、身体を改変している。  結果異常なほど性欲と体力が向上してしまった。  人間を操るためには都合がいいし、相手を動けなくするのにも丁度いいのだが、だが毎夜毎夜男無しではいられなくなってしまった。    好みではないが、女でもいけるが、女相手では絶対に孕ませてしまう。  それは避けたかった。  まあ、一夜の相手を見つけるには困らない容姿に生まれているのだが、それでも手順を踏むのはめんどくさい。  だから。  探さなくてすむようにはした。    「あんたみたいな・・・綺麗な男を好きに出来るなんてな」  下卑た声で男達は笑った。     「噂以上のべっぴんやないか・・・確かにこれくらい美人なら男でも勃つわ」  一人の男はもう息遣いさえ荒い。  もう一人は食い入るように占い師を見つめている。  薄暗い室内で占い師の肌は光るように白い。  長い髪は光を吸い込むように黒く、つり上がった切れ長の瞳は濡れた色を湛えていた。    男達が待つ部屋に入ると同時に占い師は上着とシャツを脱ぎ捨てた。  服の下に隠されていた白い身体は、綺麗な筋肉に覆われ、淡く色づいた乳首が白い胸を飾っていた。  その美しい身体に男達の目が奪われる。  「ええか?何してもええけど、怪我させるのはだけは無しな。料金は前払いや」  ポン引きが言った。  随分古めかしい言葉だが、この男はポン引きだ。  身体を売る女の代わりに男を見つけてきて、分け前を、奪う。  ポン引きが占い師の代わりに男を見つけてくれる。  そして代わりに金を受け取ることになっている。  本人によるとポン引きではなく本来はプロの「ヒモ」らしい。  だが占い師にはどうでもいいことだ。  「ボクがあんたのためにポン引きしたろ」  そう言ったのはポン引きなので、占い師はポン引きのことをポン引きと呼んでいる。  とにかく面倒のない相手をつれて来てくれるだけで占い師的には助かるのだ。  今日は3人見つけてきた。  場所も提供してくれている。     ポン引きの住む古い借家だ。  ふるい和室の6畳間を提供してくれている。  工場地帯にあるこの家のある周辺は人気がない。  色々見られる危険がないのはありがたい。  「縛ってもええんか」  ズボンを下ろしながら一人が呻く。   もう勃起していた。  持参のバックからは拘束具や大人の玩具が見えている。  他の二人も、もうポン引きのことは忘れて、ズボンを慌てて脱ぎだしていた。  「お好きに。でも怪我させたらあきませんで。何回もいうてますけど。一応、ボクのバックにおる人のことは忘れんといて下さいね。あの人は商売もんに怪我させたら許してくれへんよ」  ポン引きは、男達に手を出す。  金を出せ、と。  そう、地元の良からぬ人物とそれなりのコネがあるのも占い師的にはありがたかった。  相手する男達とのトラブルを避けられるからだ。  「・・・わかってる」  男達は一人安くはない枚数の札をポン引きに渡していく。    占い師にとっては金はどうでもよい。   ただ、その身体を満たしたいだけだ。  早く欲しくて自分の胸を自分でいじりだす。  服はすべて脱ぎ捨て、足許にころがっている。  白い指で、摘まんで弾いたら淡い色の乳首は尖り、もう勃起した性器の先から雫が零れた。    ああっ  形のよい唇が吐息を漏らす。  それに男達が唾を飲んだ。  「ほんなら、朝また来ますわ。・・・ごゆっくり」  ポン引きは片唇だけをあげて笑うと、音もなく消えた。  そして、自分の性器を弄りながら、胸を指でこね、喘ぐ占い師と男達が取り残された。  「ああっ・・ああっ」  立ったまま、身悶えする占い師に、男達はただ視線を奪われていた。  だが、襲いかかるのにそれ程の時間はかからなかった。  「堪らんわ、なんやこの穴」  男が呻いた。  白い尻をつかみ、背後から占い師の穴に自分のモノを突っ込み腰を叩きつけながら。  ぐちゃぐちゃと水音がする。  中で何度も吐き出したのだ。  精液が泡立ち、穴を出入りするその竿にまとわりついている。    「女のもんより具合がええってなんやねん」  味わうように腰を回した。  その度に占い師の白い身体が揺れる。  占い師の両腕を掴み、持ち上げるようにして背後から男は占い師を犯していた。  「締まる・・・ううっ堪らん」    男はすすり泣くような声で必死で腰を動かす。  「うぉっ・・・マジか。めちゃくちゃ気持ちええ・・・」  背後から犯している男の正面で、占い師の口に自分のモノを咥えさせている男が悲鳴のような声を上げる。    ジュルジュルと音をたてて、占い師は男の竿を先端から元まで唇と喉までつかって扱いていた。  首を振り、ねっとりと舌も使って扱く。  「そんなにされたら・・・ああっ、止まらへん」  男は占い師の頭をつかみ、喉の奥を味わい出す。  もう一人はウットリと占い師の身体を舐めまわしていた。  「この感触たまらへん・・・乳首可愛い・・・」  夢中になって乳首を吸い、その手の中で弾かせようと、占い師の形のよい性器を必死で擦る。  「この舌触りなんや。なんや、美味しい・・・」  まるで赤ん坊のように乳首を吸いながら、自分のモノを扱いているかのように必死で占い師の性器を扱く。  ひぃぃぃ  悲鳴のような声をあげたのは、背後から犯していた男だった。  身体を痙攣させながら、占い師の中に射精していた。  涎を流し、頭をふり、喉をそらし、電気でも流されたかのように全身を痙攣させる。  「いい・・・イイっ・・・いいっ」   長いながら射精の間そう叫び続けていた。  くきぃぃぃ  壊れたような声をあげたのは、占い師の喉を犯していた男だった。  鼻血が吹き出した、顔が真っ赤になり、歯を食いしばる。  まるで苦痛に耐えるような顔で、声を漏らした。  「たまら、ん」  腰が狂ったように動き、占い師の喉の奥で射精しているのがわかった。  それらと同時に弾けた占い師の性器が、零した精液を飲もうと占い師の身体を舐めていた男は畳に飛んだその精液を舐めとり、叫んだ。  「甘い甘い甘い」  麻薬でも入っているかのように、また飲もうと夢中で占い師の性器を咥えて吸う  ビチャビチャ、ジュルジュル  必死に吸う音が響く。    なんやこれ、止まらへん、  男は喚く。  尻を犯す動きは激しく、なのに苦痛のような声を男は上げるのは犯しているはずの男の方で。  白い尻はいやらしく蠢き、穴の内部の複雑な動きに男は悲鳴をあげる。  気持ち・・・ええ  でる・・・出るぅ・・・  快楽の声であるはずなのに、その声には隠しきれない恐怖があった。    ふぉぅっ  ふおうっ  占い師の口に咥えさせた男が苦悶の声にしか聞こえない声をあげる。    ぎもぢいい   ぎもぢいい  そう言わなければ声もその表情も苦痛を受けているとしか思えないものだ。    出るぅっ  出るぅっ  刺し殺されるような声をあげてまた男は達した。  じゅるじゅる  べちゃべちゃ     占い師の股間に顔をうずめ、夢中でその男はその性器を夢中でしゃぶっていた。    あまいぃ  あまいぃ  白濁に汚れた顔で時折叫ぶ。  男は自分のものをしゃぶっているかのように、占い師が達する度に自分も達していた。  麻薬を求める中毒者のように、男は占い師の性器が吐き出す白濁を欲しがった。  男が最初に使うはずだった玩具や拘束具は取り出されることなく鞄の中にあった。  もっとぉ・・・  あぁ・・・  喉の渇きで死にかけている人間がやっと与えられた水を欲しがるように必死でしゃぶりつづける。  3人の男達が呻き続ける。    死ぬ  死んでしまう  死ぬ  イイ・・・  いいっ  いい・・・  死ぬ  いやだ  もう・・・  苦悶の声。  もう、快楽とは呼べなないそれが部屋に満ちる。  だが男達は腰をふり、しゃぶり続けた。  止めることなど出来ないのだ。  男達のくすんだ身体の下で、白く光るのは占い師の肌だ  白い身体が蠢く。  黒い闇色の髪が揺れる。  濡れた目が光る。  どんどん枯れていく男達の中で、占い師は光を放つように輝き始めていた。    「はい、お時間です。お疲れ様でしたぁ」  襖を開けてポン引きが入って来た時、男達はホッとした顔をした。  ああっ  よろよろと男は挿れっぱなしだった性器をやっと引き抜いた。  自分の吐き出したモノにまみれた性器はそれでもまだ勃起していた。  だが、男は怯えたように泣き出した。     身体を震わせながら。  嫌だ  嫌だ  泣きながら口から自分の性器を引き抜いている男も怯えたように口走った。  まだ、勃起させたまま。  ガタガタと震えながら、引き抜いた性器の先から僅かに射精させた。  それでも、萎えない。    怖い怖い許して  勃起したまま、これまた勃起したまま性器を咥えていた男もすすり泣く。  大量の精液を撒き散らしているのに、まだ持続し続ける自分の性器に怯えているのだ。  「大丈夫ですよ。この部屋から出たら落ち着きますから。大丈夫やから」  ポン引きは優しく声をかけながら、一人一人、部屋の外へ連れ出していく。  男達は怖い目にあった子供のように従順にポン引きに従う。    真っ裸で、性器をおっ立てたまま、泣きながら。  「タクシー呼びますからね、ええですね。大丈夫。大丈夫。家に帰る時には落ち着きます。ほら、濡れたタオルですよ、これで身体を拭いて・・・ほら少しコレ飲んで・・・」  優しく宥めるポン引きの声と、男達のすすり泣きを襖の向こうで占い師は寝そべりながら聞いていた。  中にたっぷり出され、たくさん飲んだ。     身体にもたくさんかけられた。  身体の中のあの子達の栄養になる。  これで、満足した。  満ち足りた。  これで、今日も生き延びられる。    占い師は白い身体を伸ばした。  唾液や精液で汚れた身体のまま。  畳敷きの和室だが、汚れても良いようにシートが敷き詰められている。  当然だ。  ここはポン引きの家なのだ。  男達のすすり泣く声と、慰めるポン引きの声を聞きながら占い師は少し寝ることにした。    疲れてはいない。   むしろエネルギーは漲っている。  でも・・・無性に眠くなるのだ。  した後は  少し寝て帰って。  あの子達が待っている。  「愛しているよ」    占い師は目を閉じた時に浮かんだその面影にそう言った。  君のためになら。  何でもする。      身体を優しく拭かれていた。  汚された顔も、散々しゃぶられた胸も性器も、広げられ、貫かれた穴まても優しく拭かれていた。    ただ優しいその手は、性的な意図はなくて。  だから心地良かった。  薄く目を開けたら、ポン引きが自分の身体の傍らに膝をつき座り、優しく身体を拭いているのが見えた。  「中は掻き出さないでええの?あれやったらしたげるで?」  目を開いた占い師にポン引きは言った。  「必要ない」  占い師は簡潔に答えた。  でも、ポン引きの指を嫌がらない。  ただ癒やすような指に身体を預ける。  「風呂は沸かしてあるからな、入って帰り、その間に服はあらって乾燥機にかけとくから。なんなら風呂も入れてやるで。洗ってあげる。全部」  ポン引きの声は優しい。  素直に頷いた。    ただ、優しくされたかった。  手に入れたものは過去だけで、今の占い師に優しくしてくれるものなどいないから。    「ほんなら一緒に風呂にいこか、捕まって」  抱えられるように支えられ、眠い身体を風呂場へとつれていかれる。  優しく身体を清められ、お湯に入る時も支えられる。  「寝といてええで。布団ひいたげる。昼までに帰ればいい」  優しい声にただ首をふってこたえる。   無性に眠かった。      こういうところは確かにプロのヒモと本人が言うだけのことはあると思いながら。  こうやって、女なり男なりに寄生して生きてきたのだろう。  優しげで、害のない姿も確かにヒモむきだ。  ポン引きも出来るヒモ。  今は占い師に寄生して、だからこそ、甲斐甲斐しく占い師に尽くす。  「寝る前に、一度だけ抱いて」  お湯の中で自分を支える腕にしがみついて占い師は言った。  餌ではない性交がしたくて。    「ええよ、綺麗にしてあげる」  ポン引きは優しい声でそう言うと、服を脱いで風呂に入ってきた。  浴槽は大きい。      おそらく二人で入るために。  ポン引きが寄生していた誰かのために。  「中には出さないで」  いつもの忠告をポン引きに与える。  大丈夫。  この男は間違えない。   プロなのだ。  男を骨抜きにするような者相手に、骨抜きにされることなく寄生してきた。  「わかってる」  ポン引きは髪を撫でながら言った。  「でも、一番奥まで挿れて・・・全部綺麗にしてあげたる。全部舐めてあげたる」  そう言いながら、もう胸を舐めはじめていた。    傷口を舐めて癒やすような舌に占い師は喘いだ。  痛みはもっと奥にある。  あるのだ。  「全部綺麗にして、お家にかえり」  ポン引きの声はどこまでも優しかった    「・・・ほら、奥まで入ったで」  ポン引きが優しい声で言う  今日、入った男などでは届かない奥まで満たされる    狂ったように何時間もこすりたてられた中を、癒やすよう動かされ、占い師は小さく喘ぐ。   お湯が濁る。  体内に残っていた精液が、こすられる度お湯に漏れていくのだ。  あの子達の餌だが、全て吸収はできていなかったようだ。  ああっ  いいっ  優しい動きに溶かされ、占い師は喘ぎ、ポン引きにしがみつく。    「ホンマ名器やなぁ・・めちゃくちゃ気持ちええはあんた。ムチャしたなるのもわかる・・・でも、せぇへんからな。ボクはそういうのやない」  ゆっくり、優しく一番奥で出し入れしながらポン引きは言った。  奥をゆっくり開かれる感覚に、占い師はつま先をそらせ、ポン引きの背中に爪を立てた。  軽く痙攣する身体を愛しげにポン引き撫でる。  「ボクは優しくすんのが好きやねん。・・・可愛いなぁあんた。複数の男にめちゃくちゃにされて・・・ボクに優しくされたいやなんて可愛いすぎる。最高や」  囁かれる。  「この穴をめちゃくちゃにされたん?何回も出されて、突かれて、回されて。可哀想に」  ポン引きは性器をゆっくり引きだし、押し込み、ゆっくりとまわす。  そこにある性器の形を確認させるように。  占い師が餌として喰うための存在の性器ではなく、セックスの相手であることを示すかのように。  無我夢中に突き立て動くだけではない性器は、ただ奪うだけではない快楽を占い師に与えてくれる。  「ここも喉まで犯されてたん?大丈夫綺麗にしたげる」  舌が甘く口腔を舐め、優しく舌を舌で擦ってくれる。  散々他の男のもので汚された場所を躊躇なく、ポン引きは舐める。  性器の生臭さではないその舌は、甘くさえ感じた。  そして、他の男の精液を散々飲んだ口の中を舐めまわし、他の男の性器を舐めた舌をすわれ、噛まれる。  そのキスはとても優しい。  「赤こう腫れて可哀想に」  癒やすようにただ優しく乳首を舐められる。  体内の蟲のおかげて、夜までには食い千切られていても回復するのだが、優しく癒されるのは心地よかった。  「全部綺麗にしてあげる。ボクが抱いたらあんたはもう、元通りや。なぁ?」  ポン引きの言葉に何人の女や男が堕ちたのだろう。  この男が抱いて全てを綺麗にしてくれるからと、言われるがままにその身体を売っていったのか。   「恋人達」は。  占い師は皮肉に思う。    でも、確かにポン引きの舌が舐める度、そこは癒やされたよう感じてしまう。  ポン引きのでかいそれが中を擦る度、そこが汚れたものを綺麗にしてくれるように思えてしまう。  快楽よりも。  優しさが優先されるセックスだから。  餌とする時も気持ちがいい。  食欲を満たしているから。  でも、これは。  これは。  こうなる前の、こんな風になってしまう前の自分がまだ自分の中に残っていて、ソイツをこの男が癒やしてくれているのだ、と占い師は理解していた。  「・・・誤解せんといてや。ボクはいつだって、身体売らせる為に恋人達を抱いてきたわけやないんやで。ボクは身体売らないとあかん恋人達の心を癒やしてきただけや」  クスリとポン引きが笑う。  嘘をつけ、と占い師は思うけれど、嘘なんてどうでも良かった。  他人の精液にまみれた身体を躊躇無く、そして、癒やすように聖なるモノのよう抱けるこの男の存在は貴重だった。  「全部擦って舐めて綺麗にしてあげるなぁ」  優しい声。  優しい指が、噛まれ吸われた乳首を優しく撫でる。  また舌で舐められる。  胸の奥の傷を舐められているみたいで、快感だけではない声が出た。  しがみついてしまう。   「可愛いなぁ・・・こんなところも噛まれて・・・可哀想に」  もう数時間もすれば消える、首筋の噛み痕に優しく舌を這わせて、癒やす。    全てが優しい。  乱暴さも、激しさも、欲望も遠い。    「元通りや。なんもなかった。なんもなかったんやで、大丈夫」  優しく囁かれ、無意識にそれに頷く。  撫でられる手の甘さ。  声の心地よさ。  ただ、優しく揺らされる身体。  身体の中にある熱さえ心地良い。  ああ、何もなかった頃に戻りたい。  「ほら、気持ちよくなり」  そう言われ、言われるがままに達した。    そして暖かなお湯と優しい腕の中で、占い師はつかの間の眠りについた。  目覚めたら清潔な布団とシーツの中で。  枕元には畳まれた洗濯された服。  何も着ていない清潔な肌を、やはり綺麗に洗われたポン引きの肌が暖かく重なっていた。  何度目覚めても、この瞬間は慣れない。  髭が伸びかけた優しい顔がそばにあり、優しい腕に閉じ込められている。  ポン引きは優しい恋人のように占い師を抱きしめ、添い寝していた。  その腕をのけると、ポン引きが目覚めた。  「もう帰るん?飯ぐらい喰うていけば?」  ポン引きがあくびしながら言う。  占い師は首を振る。  あの子達が待っている。  急いで帰らないと。  明日までに餌を探さないと。  あの子達の餌がいる。  目星はつけてある。    「そう・・・今日はもう来ない?」  聞かれて頷く。  3人喰った。     3日は持つ。  性欲を宥めるために、自慰はしなければならないだろうが。  「明日また」  占い師はそう言って起き上がり、服を着る。  「タクシー呼んだるからな」  ポン引きはそう言って、起き上がる。  「いい。歩いて帰る」  それほど遠い距離じゃない。  店までは。  「そうか。ほんなら、明日な」    ポン引きは服を着終わった占い師を背後から抱きしめた。  「今回の奴らは・・・あんたん中に吐き出す位の度胸しかあらへんかったから・・・せっかく持ってきた道具も使うことも出来へんような奴らやったからな。もうちょい根性あるやつ探しとく。あんたはめちゃくちゃにグチャグチャにされて・・・ボクに優しくされるんや」  ポン引きが囁く言葉に占い師は何も答えなかった。  でもポン引きは薄く笑って、占い師の股間を撫でた。  そこは確かに硬くなっていた。  「優しくしたいねん、あんたに。ボクは」  甘くポン引きは囁いた。  「今のお前の飼い主は?誰だ?」  占い師は黙らせるだけに聞く。    ポン引きは人間社会の寄生虫だ。  寄生虫なのは何も悪いことではないが、寄生する相手があってこその寄生虫だ。  占い師にも一時的に寄生はしているが、それだけではたりないはすた。  占い師ではない誰かが寄生主で、この家もその寄生主のものであるはずだった。  「・・・・・嫌なことを聞くね。ボクはあんただけでもええんやで?」  ポン引きは笑った。  「私はお前でなくていい」  占い師は言った。  嘘。  このポン引きが必要だ。  この男は便利すぎる。  それがわかっているポン引きは笑った。  「また、明日。あんた本当に可愛い。めちゃくちゃ可哀想で、めちゃくちゃ可愛い」  その言葉を占い師はどこか他人事のように聞いていた。  占い師が去った部屋で、ポン引きは煙草をふかす。  白い煙を吐き出しながら、他人に抱かれた身体を思い出す。  他人が噛んだ痕を舐める。    穴からこぼれるまだのこった精液をなめ、時に傷ついた穴を舐めてやる。  赤く腫れた乳首を舐めて癒やす。  他人に身体を売ることは身体以外に何かを確かに売り渡している。  その苦痛を癒やしてやるのが好きだ。  天職だと思っている。  確かに、売り先を見つけてやったりもするが、その後のケアこそが自分の仕事だと思っている。  「目的があってこんなことなんてことないなんて思うてるヤツほど・・・抉られとるんや」  ポン引きはつぶやく。  「金もいらん。でも、男の精液が欲しいて、そらなんやねん、まぁそれはええとして」  ポン引きは嬉しそうな顔をした。  明日までに、占い師を犯しつくせる連中を探さないと。  あんなただ身体から離れられなくなって、自分たちの方が拷問されてるみたいに泣きながら射精し続けるようなヤツらやなくて。  もっと可哀想な位にあの可愛い男を犯してくれる連中を。  そして、酷く汚されたあの男を綺麗にして、優しくしてやるのだ。  「可愛いなぁ」  ポン引きはため息をつく。  あんなにつれないくせに、抱いて欲しいと強請る時と、腕の中でイク時だけは可愛いなんて、たまらない。  平然と犯されまくるよごれっぷりも、そのくせ優しくされたがる自覚のない傷つきぶりも。  全部ツボなのだ。  ヤバいと思う。    ポン引きはまた煙を吐き出した。

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