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第15話 回復
「何?この子・・・それに何であんた血まみれなん?」
玄関の扉を開けたポン引きが驚いたような声をあげたが、それどころではなかった。
占い師は勝手に上がり、風呂場へ大切なあの子と向かう。
この家に来るべきではなかったのだが仕方ない。
「誰でもいい、早く誰かが欲しい」
そうとだけポン引きに言う。
「それはいいけど・・・あんた、右腕はどうしたんだ!!」
追いかけてきたポン引きに占い師は中身のない右袖を掴まれた。
「無くした」
言葉少なく答えた。
あの屋敷は鉄壁の要塞だった。
なんであんな屋敷があるのか。
どこにも穴がなかった。
少女の中に潜み、あの屋敷に入り込むためには、自分の右腕と少女の右腕が必要だった。
身体の衰弱が酷い。
大切なあの子の餌と必要なのに。
もう、自分で獲物を狩っている時間も体力もない。
ポン引きに頼るしかない。
「・・・消えても気付かれないような誰かが欲しい。なんとかならないか」
占い師はそう言いながら、風呂場に入り込み血まみれの服を脱ぎ捨てようとして、片腕しかないことに困る。
それを見たポン引きは占い師の服を脱がしてやる。
「ホンマに無くしたんか・・・」
右腕の肘先がないことを、ポン引きは呻く。
もとから肘から先なかったかのように傷一つない皮膚で覆われたその欠損した腕を悼むようにポン引きはキスをした。
「やめろ」
占い師は珍しく拒否した。
何故かそうされたくなかった。
それでも優しくポン引きはそこにもう一度キスした。
愛しそうに。
ピクン
占い師の身体が震えた。
「やめろ・・・お前を喰うわけにはいかない、まだ」
占い師の言葉にポン引きはしぶしぶ這わせかけてた舌をとめた。
ポン引きも喰われるのは嫌なのだ。
後は淡々と占い師のズボンや下着をぬぐのを手伝い、ニコニコと占い師に向かっては微笑み続ける、占い師の愛しいあの子の服も脱がせてくれた。
「洗ったる。片手になれてへんやろ」
ポン引きは優しい手付きで血まみれの髪を身体を洗ってくれた。
自分の服が血で汚れ水に濡れるのをいとわずに。
もう勃起したままのそこや、ひくついている穴も、そっと触ってくれた。
出来るだけ刺激しないように。
そして、愛しいあの子には服を脱がせる以外は触れないでくれた。
脱がせる時でさえ、慎重に触れないようにしてくれた。
「ありがとう」
占い師は初めてポン引きに礼を言った。
占い師はゴミ袋に血で汚れた服をいれ、浴槽にお湯をため、風呂場から出て行こうとしていた。
「ええよ。ボクは人に奉仕するためだけにに生きとるからな。・・・消えてもええ連中か。出来るだけ早く用意する」
ポン引きは微笑んだ。
そして風呂場から出て行った。
「おいで」
占い師はあの子にいう。
あの子は嬉しそうにやってくる。
暖かなお湯をかけてやり、優しく優しく洗ってやる。
指に触れる肌。
指にもつれる細い髪。
大事な子。
大切な子。
あの子が濡れたまま、占い師の首筋に腕を巻きつける。
「お兄ちゃん、大好き」
その唇から漏れる声は熱い。
愛しさを押さえられず、抱き締める。
でもこれは性欲ではない。
股間は熱く脈打って、穴はひくつき、肌も唇も何もかもが人の肌や体液を求めているけど、これは違う。
小さな柔らかい胸も、おそらく自分と同じように濡れているだろうそこも、劣情とはなんの関係もない。
そんな風には触らない。
そんな風には側にいない。
君だけは。
誰とどんなことをしても、君とだけは違う。
「愛しているよ」
占い師は愛しい人を抱きしめた。
この子だけが全て。
それ以外どうだっていい
白い女の脚を広げて、中に入る。
「うふふっ」
女が笑う。
自ら腰をくねらせ、占い師のモノを受け入れていく。
「熱い・・・気持ちええっ・・・」
うっとりと女は喘ぐ。
占い師も喘ぐ。
後ろから男に後孔に犯されているからだ。
痛い位に尻を掴まれ、ねじ込まれている。
「すごっ・・・めちゃくちゃ締まる・・・ううっ!!」
男は興奮しながら呻く。
ポン引きが連れてきたのは一組の男女だった。
「幹部の女とその女に手を出した男や。殺していい。許可はもろとる」
ポン引きは占い師に囁いた。
どう言って連れてきたのかは分からないが、彼らは占い師が服を脱ぐと自分たちも脱ぎだしたし、占い師の身体を弄ぶことに何の躊躇いもなかった。
「綺麗な子ね、あなた・・・」
占い師の綺麗な腹筋を指でなぞり、自分から貪欲に腰を振った。
「熱い・・・気持ちいい・・・何これ・・・こんなの入れたことがない・・・ああっ」
女は狂ったように腰を蠢かす。
自分の中にある占い師の性器に夢中なのだ。
女にせがまれ、占い師は唇を開き、女の舌を受け入れた。
女の舌は必死になって、占い師の舌を辛め奪う。
まるでそれが麻薬か何かであるかのように。
「ああ、中、すごい・・・こんなん知らん・・・」
男は夢中で腰をふる。
男は男で占い師の穴の感触を味わうのに必死だ。
白い首筋を舐め、吸い、噛む。
女も男も無我夢中で占い師の身体を味わっていた。
上で下で狂ったように動き続ける肉にはさまれ、ただ占い師は柔らかく蕩けて、快楽を受け入れ与えていく。
「出るッ」
男が呻いて中に放った時も。
「イクッ」
女が飛ぶのにあわせて、女の中に放った時も、占い師は彼らの身体を受け入れ・・・そして侵入していく。
いつしか女が占い師のモノを咥えて、必死でしゃぶりだし、男が占い師の性器を後ろの穴に咥えるために自ら自分の穴をほぐし始めていた。
同性を抱いたことさえはじめてだった男が、占い師の肉体欲しさに、女のようにその身体に受け入れたくてたまらなくなっていたのだ。
占い師は笑って女の喉を犯しながら、男の穴を広げながらそこを指で犯す。
右手を失ったから左手しか使えないが問題ない。
そこを上手にこすってやると、男の身体はみっともないほど震えた。
「くあっ・・・」
男の悲鳴のような声に女が占い師のモノを咥えながらわらう。
笑ったその喉の奥を占い師は犯してやる。
喉の奥を突いてやる。
女はそれでも えづきながら身体を震わせイく。
男も指で犯されながらイく。
身体をくねらせ、女のように。
綺麗な入れ墨がいれられた、全身がうねる。
沢山の女を泣かせてきた、幹部の女でさえ平気で寝取るような男が、尻を弄られ泣いていた。
もう、男も女も、占い師に犯されることしか考えなくなっていた。
欲しい?
占い師は今度は男の尻を背後から犯しながら囁く。
最初は慣れない感覚に呻いていただけだった男は、今は自分から尻を振っていた。
男は中からの快楽に涙や鼻水を垂れ流しながら、泣き喚き、でも頷く。
欲しい
欲しい
もっとくれやぁ
男は泣き叫ぶ。
占い師は奥深くに入り込むために、そこをゆっくりとこじ開けて行く。
うぉっ
うびぃ
男は喉をそらして叫び続ける。
女は占い師の失われた右腕の跡、もとから存在しなかったように綺麗な白い肌に覆われた肘を夢中で舐めている。
まるでそれが性器であるかのように。
自分で自分の股間を弄りながら、先のない肘に舌を這わす。
してぇ
してぇ
私にも頂戴
女が強請る。
彼らは完全に占い師が与えるものを受け入れていた。
何だって受け入れるだろう。
セックスじゃなくてもよいんだが、セックスが一番早い。
占い師は微笑んだ。
こいつらはあの子をうけいれる。
全裸で部屋の隅にいた少女がゆらりと立ち上がった。
男をあの子が食い尽くす間、占い師は女の中に必要なものを与えてやっていた。
擦り、突き、優しいキスをする。
「ああ、可哀想に。誰にも愛されなかったんだね」
占い師は優しく女の髪を撫でながら、腰を緩やかにうごかした。
優しく優しく、溶かすように。
そんな風は触れてもらえなかった女に。
女には身体は奪われるもの。
そしてそれを使って何かを奪うものでしかなかった。
激しく快楽を貪ることを女は止めていた。
まるで、初めての少女のように必死に占い師にすがりつく。
そう、占い師に犯されていた男が最後にはそうなったように。
男はあの子に引き渡されるまで、占い師にすがりつき、愛を求めていた。
女という女を快楽のための道具としか使ってこなかった男は、占い師にむかって優しく愛されることを泣きながら願ったのだ。
今の女のように。
「好きって言ってぇやぁ」
女はすすり泣く。
「好きですよ。あなたが」
占い師は優しく囁いた。
女は占い師の胸の中で泣く。
優しく揺すられる律動に、女は形がなくなるように緩んでいく。
淫らに占い師の身体を求めていた女はもういない。
無力で、傷ついた少女がそこにいた。
優しさを送り込む。
心に張った鎧をはがしていく。
快楽を使って穴をあけ、そこに優しさを送り込むことで。
「もう、あなたを騙した人はいないんです。あなたをあの部屋に連れて行って、他の男たちに引き渡したあの人は」
占い師は見える過去を囁く。
豊満な身体が何故か少女のように見えるようになった女が泣く。
「あなたを支配し続けるだけの男ももういなくなる。あなたはもう、苦しまなくていい。大丈夫。大丈夫、私に全部任せて?」
占い師の優しい囁きに、女は小さく何度も頷き、消えゆくようにイった。
占い師は女を解き放つために中に放った。
女は完全に溶けきった。
隣でもう、男をあの子が食い尽くしていた。
あの子の股間に生えた男根のようなものを男の後孔に挿入し、男の内部からあの子は男の中身を食っていたのだ。
それでも何度も喰われながらも男は射精していたから、気持ち良かったのだろう
「大丈夫、全部まかせて」
引き抜きながら占い師は女にキスをした。
女は甘えるように頷いた。
男から男根のようなものをあの子が引き抜いている。
男はぺたんと平らに広がった。
中身がなくなったのだ。
あの子が全部食べた。
ゆらりとあの子がたちあがりこちらにやってくる。
股間に巨大な男根のようなものを立てたまま。
食事の時だけ生える、アレ。
「気持ち良いよ、だから安心して」
占い師は嘘はつかなかった。
それだけは本当。
「足りないんだ」
占い師はポン引きに訴えた。
あの子はすやすやと眠っている。
その裸の身体にポン引きが毛布をかけてくれた。
ポン引きは今、皮だけになった男と女をゴミ袋に詰めている。
綺麗に洗って、この二人が裏切った幹部に渡すのだそうだ。
それでいくら貰えるのかまではわからないが、幹部は裏切った二人の生皮に満足するだろう
幹部が思っていたのとは違い、二人は快楽と幸福の中で死んだのだが、まあそんなことはいい。
「誰でもいい。もっとしたい。足りないんだ」
占い師はポン引きに頼む。
あの子の餌には十分だが、占い師にはあの程度では足りなさすぎた。
もっと沢山・・・しなきゃ。
身体を変異させ、力を沢山使った。
足りない。
これでは足りない。
ポン引きを襲いたかったが、殺してはいけないから諦めた。
この男は必要だ。
まだ。
「どんな酷い目にあってもいい」
占い師は訴えた。
どうせ、治る。
ポン引きはため息をついた。
「今までのような気弱な連中やなくなるで。今からすぐに用意出来るとなると。これでも、あんたのために選んでたんやからな」
人を売った金で生きてるポン引きは言った。
「なんだっていい」
占い師はせがんだ。
「・・・・・・知らんで」
ポン引きはつらそうな顔をして占い師の頬を優しく撫でた。
「あんまりかわいそうな目には合わせたなかったんやで」
散々人に嬲られた占い師の身体を誰よりも好むくせに、ポン引きはそんなことを本当のように言う。
「早く」
占い師はそうとだけ言った。
ポン引きは困ったように笑った。
本当につらそうな笑顔で。
押さえつけられて殴られた。
鼻から血を吹き出す。
男達は血に興奮していた。
セックスそのものでなく、暴力に勃起するような連中だった。
むしろ、暴れて抵抗しない占い師はもの足りなかっただろう。
ポン引きが、占い師を連れて行ったのはどこかの倉庫だった。
ポン引きがしっかり金を受け取っていたのは見ている。
車から引きずり出されて、倉庫の中でそれが始まった。
暴力が。
セックスの前の前戯のつもりなのだ、このクソみたいな連中にとっては。
耐えた。
必要だったからだ。
こんな連中すぐに殺せる。
だが、殺してしまうと精気を奪えない。
大量の精気が必要だった。
出来るだけ早く。
でなければ、この身体を保っていられない。
人間の形を保たなければならなかった。
あの子といるために。
もう形だけでもよかった。
あの頃のままでいるためにあの子の形を蘇らせた。
ならば、この形だけは守らないといけない。
「そんな外法長く続かへんぞ」
そう言われた言葉を思い出す。
やれるだけやるさ。
占い師は切れた口の中の血を飲み込みながら思う。
激しく腹を蹴られ転がった。
呻く。
そのうめき声に連中が興奮していた。
変態どもが。
占い師はそう思った。
服を乱暴に引き裂かれ、強引につっこまれた。
少し前まで男のモノを受け入れ、中にたくさん出されていたから、受け入れることはできたが、乱暴に広げられた脚、ただ痛めつけるためだけに動かれ、苦痛の声しか出ない。
乳首を血が出る程噛まれた。
汚い笑い声がした。
腹や肩を噛み切るかのように噛まれる。
動物が獲物を貪るように奴らは占い師の身を噛む。
血が流れていく。
占い師は叫んだ。
悲鳴をこらえるようなことはしない。
コイツらは悲鳴を欲しがっているのだから。
そして、乱暴に腰をぶつけつづける奴が狂ったように叫ぶ
「すごいっ!!なんだコイツ!!」
違う誰かのモノが顔に押しつけてられる。
顔を掴まれ、強引に咥えさせられる。
そんな中、それでも占い師は彼等が何人いるのを数える。
4人。
これなら足りる。
十分だ。
乱暴に始まり、暴力を受けはしても結果は同じだった。
男達はいつも通り
占い師に狂った。
奪い合い、殴り合いさえおこしながら占い師の中に入りたがった。
「のけや!!変われ!!」
占い師の肉体を貪る男を殴代わって占い師にのっかりたがった。
それでも最初に入った男は、どんなに殴られようと占い師の中から出て行こうとせず、ひっきりなしに精を放ち続けた。
ふひぃ
ああ、いい、
最高やぁ
眼を見開き叫びつづけながら。
顔が倍にふくらんだ頃、やっと身体から引き離された。
引き離されても、男は一人身体を震わせ射精し続けていた。
占い師には十分だった。
一人分の精はもらったからた。
残りの3人で占い師の身体をシェアした。
一人は口。
そして残りのふたりで、後ろの穴を共有することに男達はした。
占い師は2つのモノが自分の中で擦れあう度に、塞がれた唇の中で叫びながら、精をしぼりとった。
その喉にも男の精は注がれる。
口から、穴から、男達の精気取り込んでいく。
ああっ
なんでこんな
うわぁっ
ひぃ
男達は狂ったように喚きはじめた。
いいっ
めちゃくちゃいい
叫びながら後ろから突いていた男は自分の指を噛んでいた
肉に歯が食い込み、血が滴る。
それでも男は指を噛み締める。
おかしく、なるぅ
男はそう叫び指を噛みきった。
下から突いていた男は涙をながしさけんでいた。
狂ったように動く腰に、脚が引きつけを起こしていた。
でも止められないのだ。
あかんあかんあかん
もう無理やぁ
喉を犯していた男は笑っていた。
壊れたようにリピートされる笑いを繰り返す。
目は見開かれ、恐怖をその目にうかべているのに笑うことも腰を振ることも止められないのだ。
ぎもち・・・いい
男は苦痛の叫びのようにそう言った。
男達は生涯最高のそして最悪の快楽に、脳まで浸され、窒息させられていた。
占い師の白い身体は薄暗い倉庫の中で、白く浮かびあがり蠢いていた。
占い師の失ったの右腕が伸びていた。
当たり前のように。
誰もそれを奇妙に思わなかった。、
あとはいつもの通りだった。
ポン引きが現れ、閉められていたドアを開けた。
泣く男達を慰めながら占い師から引き離してやり、宥めながら勃起がとまらない性器を何なら射精さえ手伝いポン引は服を着せてやった。
ポン引きの手で射精したら、不思議なことに男達のそれは落ち着いた。
指を噛みきった男の指先を見つけハンカチで包みもたし、ちぎられた先も縛って止血してやった。
子どものように男達は泣きじゃくっていた。
どこまでも永遠に誰かを犯し続けたい、そういう願望を叶えられた。
だが、それの恐ろしさを知ったのだ。
怖い
怖いい
許してぇ
許してぇ
男達は子どもに戻って泣いていた。
一人一人を優しく抱きしめてやると、用意していたらしい紙コップにブランデーかウイスキーを注いでやり、飲ませた。
「お迎えが外に来てはる。ここ出るまえにしゃんとしなあかんで」
優しく言い聞かせた。
一杯の酒を飲み終わる頃には男達は少しは落ち着いていた。
男達はボロボロの自我を辛うじて立て直し、非道で残酷な仮面を辛うじて身につけ、ヨロヨロと外へ出ていった。
「その辺のアホとは違って筋金入りのイカレた奴らを壊しやがって・・・あんた本当に恐ろしいな。あれじゃ、もう二度と勃たへんかもな・・・セックス怖くて泣き叫ぶようになるで・・・」
ポン引きは彼らが出て行ったあと、呟いた。
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