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第27話 始まりの場所
「らはさのら」
それは言った。
軋むようはザラザラした声で。
「ボクもアンタと一緒なんや。アンタは蟲を。ボクはコイツを飼うてる。コイツがおるかぎり、ボクは死なん。だからアンタをいくらでも抱けるんや」
ポン引きは愛おしむように腹から飛び出したソレを撫でた。
ポン引きの腹から生えた【ソレ】はその目を嬉しげに細めた。
膿んだように熱を持った目が。
そしてその目が占い師の方を向いた。
「ならやまたな」
それは占い師に向かって言った。
占い師はさすがに言葉を失っていた。
自身が化け物に変容はしても、
腹から化け物を生やした男は見たことがなったからだ。
「挨拶終わったら、戻っとき。お前がおったらムードがなくなるねん。エロいことしてるんやからな」
ポン引きは優しくソレに言った。
それは頷き、また身体の中に沈んで言った。
「ムードなんか最初からないだろ・・・。お前・・・最初からお前一人で良かったんじゃないか」
占い師は苦く笑った。
この男は占い師に人間を抱き殺させ、そして占い師を乱暴に扱う連中に占い師を抱かせたりしてきたのだ。
この男が相手をするだけですんだものを。
「・・・・・・ボクは、可哀想なアンタに一番クルんや。可哀想なアンタは・・・最高にエロい」
ポン引きはぬけぬけと言った。
「・・・・・・最悪だよお前」
占い師は唇を歪める。
「そう?でも、ボクに優しくされるの・・・好きやろ?」
また優しく動かれてしまう。
嘘偽りのない優しさが、身体を溶かしてしまう。
この男は本当に優しくしたいのだ。
占い師に。
それがどんなに歪んでいても、それが本気だから・・・身体が解けてしまう。
「ほら、奥で出してあげるからな。もう、そろそろ・・・たりるんやないか?ボクのおかげで、アンタは・・・あの女の子を連れ戻しにいけるんや」
ポン引きの言葉は・・・その通りだった。
ポン引きはイカせるために動いてくれて。
こんな風にイカせてくれる男は他にはいなくて。
優しさにイカされる。
すべてが優しさで出来た快楽を、拒否などできなくて。
それは心の隙間から染み入り、入れてはならない場所にまで届いてしまうのだ。
優しさに溺れながら、占い師はポン引きの精液を受け入れ、そして、イった。
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