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第28話始まりの場所
「ほんでどうすんの?」
僕は聞く。
この村から占い師がやってきたのは解った。
で、どうすんのかはわからへん。
こんな、廃村。
もう誰もいない。
地震か何かがあった後みたいだ。
家が崩れて・・・そして、時間が経過して草木が生い茂っている。
・・・・・・地震じゃないな。
それくらいは僕でもわかった。
「分かるか?・・・ここが廃村になったわけ」
アイツが薄く笑って聞く。
「うん。ナメクジになった占い師が暴れ回ったんやろ」
そして、沢山殺した。
で、この村は滅びた。
で、なんでここなの?
「ここは占い師が壊すもっと前にも一度壊れたんや。蟲が暴走してな。その時生まれた蟲をおそらく占い師は胎内に飼うとる。前に暴走した時、ここでそれを収めたんが・・・俺の爺さんや」
アイツが言った。
そう言えばそんな話をしていたような。
「占い師もそれを知ってたから、この子を連れてこの村を出たんや。あの子と自分の〈餌〉が必要なのもあったやろうけど・・・ここは占い師やその子、つまり判じ蟲がおるには不都合な場所でもあるんや。だから村人達は蟲部屋と、人間の身体に蟲を入れて蟲を守ったんや」
アイツは言った。
ここには、蟲を殺すためのものがあるってことなんか。
僕は察する。
「占い師が来る前に・・・準備をせんとな。すぐに来るで。この子を取り戻しにな」
アイツは立ち上がった。
僕も慌ててたちあがる。
「・・・・・・俺の勝手に付き合ってくれてありがとう。お前には何の得にもならへんのに。・・・ありがとう」
アイツが小さく笑った。
そんなん、素直にありがとうなんて絶対言わへんアイツが、そんなん言うから。
僕は抱きしめてしまった。
「お前、何勃起しとんねん、うわぁ、擦り付けるな!!」
怒鳴られる。
「いや、そんなん言われたら勃つやん?ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから・・・先っぽだけでいいから・・・」
僕は抱きしめたアイツの股間に勃起した僕のを押し付けてしまう。
薄い皮膚の首筋にかぶりついてしまう。
ここに歯を立てて、噛むのが僕は大好きなのだ。
肘が飛んできた。
綺麗に側頭部に決まる。
肘は腕力のない子供や女性が使っても有効な武器なので・・・効いた。
いや、僕が教えてんけどね。、
「時間ないんや!!ふざけんな!!」
真っ赤な顔して怒鳴られた。
「あ、・・・後でなら・・・ええ」
震えながら真っ赤な顔をして言われたので、正座した。
真っ赤な顔で「後で抱いて・・・」やと。(まあ、僕なりの翻訳や)
たまらんくらい可愛いやないか。
押し倒してめちゃくちゃにしたかったけど、僕は紳士や。
ガッチガッチになっとったけど、我慢した。
後でさせてくれるんやったら何でもします。
後で、抱く時に言ってもらわんとあかん。
「抱いて欲しい」って。
真っ赤になって、恥ずかしがって、それでも言わそう。
うわぁ。
最高や。
僕はニタニタ笑った。
アイツがドン引きする。
そして怯える。
後でどうなるんか考えてるんやろ。
大丈夫。
めちゃくちゃ可愛いがったる。
「と、とにかく準備をするで!!」
アイツの説明が始まった。
いつの間にか影から出てきた赤と黒と僕は、全員正座してアイツの話を聞いたのだった。
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