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第31話 始まりの場所

 占い師は少しばかり驚いた。  まさか、ここだとは。  人間が短時間でどうやってここまで来たのかはわからない。  ここは・・・始まりの場所じゃないか。  ここで犯されながら大人になり、あの子を殺されたのだ。  そして、村人全員を殺した場所だ。  あの子の気配を辿って来て見た。  途中色んなモノを吹き飛ばしながら、道を走ってきた。  とうせ、人間には見えない。  人間達は見ようとしないからだ。  見えるモノがいたとしても、誰も信じはしないだろう。  巨大なナメクジの身体に、美しい顔だけを貼り付けたように残している占い師は、その赤い唇を釣り上げて笑う。  あの子がいたからだ。  よかった。  まだ人間の姿をとれている。  早く餌を与えなければ。  連れ去ったあの少年もいた。  ひどく痩せたボサボサの髪の。  少年はあの子を隣で寝かせたまま、胡座をかいてこちらを静かにみていた。  怯える様子はない。  少年と、あの子しかいない。  だが、仲間の金髪の少年もいるはずだ。  あの獣みたいな少年が。  占い師は用心する。  でも、もうすぐあの子が形を保っていられなくなる。  あの少年を犯して、食べやすくしてからあの子に食べさせよう。  耐性があるらしく、こちらの魅了が効かないが、別にいい。  絶対に男が感じる中の場所を突いてやれば、イクだろうし、理性がなくなるまでそうしつづけてやる。  そうなったなら、あの子が食べやすくなる。  別にこちらが挿れる方でも構わないのだ。  女達相手にはしてきたのだから。  占い師は即決した。  手足を折って動けなくしてからあの少年を犯そう。  スピードを落とした。   ゆっくりと、少年がいる昔自分を犯すためにあった屋敷の跡へ向かう。  今は何もない。  全て壊したからだ。  あの日、ふきとばした。  もう草が生い茂るだけの場所に、その少年は痩せて長すぎるを胡座にくんで座っていた。  あの子を隣りに寝かしたまま。  あの子の上には少年のモノらしいパーカーがかけてあった。  酷くは扱われていなかったことにホッとする。  ずるん    ずるん  重たい巨大なナメクジの身体が蠢く音。  そんな普通は聞いたことがないような音にでさえ、少年は怯えない。  それに占い師は腹立たしさを感じた。  静かな目。  そして、決意を秘めた目。  なんだ、この少年。  不愉快だ。  その目には確かな同情がある。  見透かすような目。  お前に何がわかるんだ。  占い師は顔を歪めた。  「ならは、わやら」  口から出た罵るはずの言葉はもう人間のものではなくなっていた。    「来たんやな。終わらせたるわ。あんたのために」  静かに少年は占い師に言った。  焦ることさえなく、座ったまま、占い師を見上げて。  偉そうに。  占い師は餌ごときにそんな態度をとられたことに激高した  あの子を攫っただけでも許せないのに。  そう、このガキには床に串刺しにされもした。  文字通り占い師はハートを、心臓を串刺しにされ、失うことになったのだ。  今もあの椅子の脚と同化して、心臓はあの部屋で脈打っているはずだ。  もう同じ方法は通用しない。  あれをどうやってやったのかはわからないが、コイツはああするには何かに指示しなければならない。  でも、もう、そんな時間は与えない。  手足を折って、舌を千切ろう。  舌を切っただけではそんなに早く人間は死なない。  血液で溺れない限り。  占い師はさっさと終わらせることにした。  この気に入らないガキを貫き犯して泣かすのは、きっと楽しいはずだ。  

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