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第32話滅ぼせ

 あの子を殺された次の日も、占い師は泣くことさえ許されなかった。  村人達は新しいじゅすな様を入れた占い師の身体を欲しがったのだ。  抱くことで力を得ようと。  薄汚い連中。  自分達の為に、あの子を殺した連中。  自分のことしか考えていない連中。  今まではなんともおもわなかった。  身体に何をされようと。  快楽をそれなりに楽しみさえした。  でも、もう違った。  この連中はあの子を殺したのだ。  自分達の幸せのためだけに。  その考えを隠そうとも村人達はしていなかった。  村全体が幸せになるためになら、たった一人の少女の死、そして、占い師を皆で「共有」して「飼う」ことなど、あの村の連中はなんとも思っていなかったのだ。  占い師やあの子は「そういう風に生まれたのだから仕方ない」「本来なら、もっとミジメに野垂れ死にするだけのモノだったんだから」連中はそう思っているのだ。  貧しく酷い場所から、子供を買ってくるのはそのためだ。  どうせ、ろくな死に方をしなかった子供なのだからと思うためだけに。  自分達が楽しむために出来るだけ美しい子供を選びながら。  反吐が出た。  抱かれる度に嫌悪が募った。    殺してやる。  殺してやる。  殺してやる。  殺してやる。  挿入される度に、イカされる度に、飲まされる度に、舐める度に、舐めさせられる度に、イカせる度にそう思った。  占い師やあの子によって、じゅすな様が与えるものを甘受しておきながら、あの子を殺し、占い師から大切なものを取り上げて起きながら、コイツらはそれを仕方ないと思っているのだ。  自分達の幸せを失う位なら、元々死ぬかもしれなかった人間のことなど。  神として敬い、大切に扱ったではないか。  どうせ、死ぬだけだった子供を。  何の役にも立たずに死んでいく命に価値を与えてやったじゃないか。  そう思っているのだ。  触れた肌、咥えこんだ中、挿れた場所からそれが伝わった。   汚い。   汚い。  汚い。  人から奪ったもので生きていこうとするお前たちは汚い。    撫で回され、舐められ、貫かれ、中で出されるた。  嵌められ、揺らされ、射精した。  汚い肉の塊達が、占い師の身体を貪る。  快楽を、力を、得るために。  そして占い師は言われるがまま、そいつらに都合の良い未来を視るのだ。  その絶頂の中で。  それが肉塊達に力や金を呼ぶ。    占い師は憎しみの声をあげながら何度も何度もイったのだった。    ただの道具。  道具。  壊れるまでの。  代わりができるまでの。  ・・・・許さない。  許さない。  許さない。  お前たちは死ね。  お前たちこそ死ね。  今ある生活が何で成り立っているのかも知らないお前たちこそ死ね。  お前たちと、あの子や自分の差は、たまたまどこで生まれたかだけ、自分達には生まれた場所の運しかないことさえわからないお前たちこそ死ね。  占い師は決めたのだ。  容赦なく、使われて、汚されて、犯されながら。  復讐することを。  占い師は快楽の中で未来を視てきた。  占い師の中のじゃすな様、蟲の女王が導くのだ。  絶頂の中で、占い師はソレを視る。  それは、どこの株価が上がることだったり、どこかの有力な誰かが死ぬことだったり、どこかで起こる事件だったりした。  占い師は絶頂の中、光に導かれ、それを視る。  視るだけだ。  誰かの簡単な過去なら、直接誰かの前にいるだけで視れる。  蟲が視せる。    占い師が望みさえすれば、光が現れ、それは占い師が知りたいものを視けてくれる。  占い師は自分のためにその能力を使ったことはなかった。  あの子以外をもとめたことはなかったからだ。  今まで何も知りたいことなどなかった。  あの子とさえいられるなら、村人達のことさえ憎むことさえなかったのだ。  村人達はあの子を失い虚ろになったじゃすな様を心配した。  役に立たなくなられては困るからだ。    代わりの少女がどこから買われてきた。  あの子の代わりになると思ったのだろう。  新しいペットでも与えるつもりで。  あの子と同じ年頃の少女は哀れで、占い師は優しくはしたが、代わりになどなるはずがなかった。  少女がいくらあの子と同じようにじゃすな様の世話を懸命にし、無邪気に占い師を慕っても。  また新たな所有物をつくってこれで済むと思っている村人達に。    どうせ、次の占い師とあの子を作るためにまた違う子供を買うだろう。  だから、占い師は初めて自分のためにその力を使った。  自分の中のじゃすな様に願った。  コイツら全員を殺すにはどうしたら良いか教えて欲しいと。  村人達にいつものように犯されている時に。  もう、村人達の醜さに耐えられなかった。    そして、もう一つ。  あの子。  あの子を還して。  あの子を。  あの子をこの腕に。  強く願った。  神だというのならば。  願いを叶えてくれるものだというのならば。  一番全てを捧げた自分にこそ、じゅすな様は願いを叶えてくれなければならない。  人生も、あの子さえお前に捧げたのだから。  身体を研ぎ澄ます。  快楽を貪る。  深く深く潜るために。  汚い肉が中を抉る感覚を貪欲に広いあげる。  人の精気を肉体に取り込む。    ひい  犯していた肉の一人が悲鳴をあげた。  そして狂ったように腰をぶつけ始めた。  村人が儀式以外で占い師を犯していいのは、一度に一人だけという決まりすら最近は守られなくなってきていた。  占い師はあまりにも美しく育ちすぎたのだ。  今では、村人達は夜も昼もなく、占い師を犯し続けている。    占い師のモノをしゃぶっていた肉の一人が麻薬でも出ているかのように恍惚とし始めた。  占い師のモノで自分の喉を、塞ぎ、顔を赤黒くしなから、でも必死で喉奥のもっと奥へと押し込もうとする。  その日、占い師を犯していたのは二人だけだったが・・・充分事足りた。  快楽と精気がスイッチを入れる。  金色のベルが鳴る。  光の瞬きが渦をまく。  闇をいくつも超えていく。    いつもよりもっともっと深く潜り、飛んでいた。    快楽は飛べない距離を飛び越えさせ、繋がる男達の精気はそこへ届くための燃料タンクになってくれた。  視たのは過去だ。  最初に視たのは痩せた黒衣の男。  白い顔のない化け物を連れた・・・。  崩れた村。  この村は滅んだ。  一度。  何故。  それを知らなければ。  黒衣の男が自分を視たような気がした。  真っ黒な何もかもを見透かすような嫌な目をした陰気な男。  顔のない腕の代わりに翼のある白い化け物の、穴しかない顔がこちらを視た気がした。  だが、これは過去だ。  占い師はさらにもう少し過去へと飛ぶ

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