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第13話
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肩を揺すられて、寝てたことに気づいて身体を起こした。ソファーから清原が立ち上がって、寝室へ向かう。
時計をみると10時を少し回っていた。あれ? 朝ごはん食べてちょっと眠っちゃったかな? 今朝はいつもよりちょっと早く起きたからな。
「よく寝てるわ。そろそろ帰るからあと任せたぞ。つか、あんま看病いらんから近づくなよっていっても近づくんだろうけど、ほどほどにな」
頷いてあとを付いていく。
「ありがと。スープ美味しかった」
靴を履き終わった清原が振り返ると、また悪人面で笑っていた。
「あれは高校の文化祭メニューなんだ。年一回くらい作りたくなるんだよなー」
「へぇ」
「思えば最初のバトルだったなー。俺の『地獄のテグタンスープ』とアレの『天使のコムタンスープ』、どっちが売れたと思う?』
……天使のコムタンスープ? 天使? 白いから天使? えーそれも美味しそう。つか、まだ食べたことないなー。
「辛いのは好き嫌いあるし、あれ結構辛いから、天使でしょ?」
「ひいき目だなー。親バカならぬ京バカ」
ムーとしてすぐ返す。
「ひいきじゃなくて冷静な判断だし…」
「残念ながら勝ったのは俺ですぅー」
悪魔も顔を突き出してくるので、キスしそうになって身体をひっこめた。だが悪魔がさらに顔を寄せる。
「いいか? 絶対接触しちゃだめだからな! 触れなくても対面で咳とかされたらすぐ洗え。触れた手で顔や頭さわんなよ。オマエまで倒れたら俺が殺されるからな」
真剣な顔で言うので、コクコクと頷いた。めっちゃ唾飛んできたからいますぐ顔洗いたいデス。つか、接触っていうのはそういうことデスよね。感染リスクを考えてくれているのか、軽く俺を蹴とばしたばかりに酷い脅され方をしたのかわからないけど、
「大丈夫。俺が頼りだってわかってるから、ちゃんとするよ」
と答えると、マジマジと見つめたあと清原がぎゅっと腰を引き寄せてきた。
「いー子だ、頼んだぞ」
そういいながら無精髭でスリスリされた。ぃ嫌ぁぁー、いったーい!
なんとか清原を送り出して、とりあえずキッチンで丁寧に顔を洗った。
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