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第16話
京さんのガウンがベッドの足元に置いてある。ダークブラウンのそれを持ち上げて、クンクンと匂いを嗅いでみる。うん、京さんの匂いがする。それを頭から被ってベッドに載る。足元なら邪魔にならないよね。足元に額を寄せて丸まった。
医者も言ったよ、近寄っちゃいけないって。移しちゃいけないからと、京さんは咳をするのも躊躇った。
秤に掛けちゃいけないとは思うけど、この状態に気づいた京さんは果たしてどうするでしょうか?
1.「だめだよ」と優しく叱る。
2.怒って追い払う。
3.起こさないように自分が移動する。
4.気づかないふりでそっとしておいてくれる。
俺の予想は1プラス4。京さんのあのおばちゃんみたいな例のアレで「あらあら、もうだめじゃない」とか言って起こそうとするんだ。けど、寝たふりを貫くと、このまま、ここにいさせてくれるんじゃないかと思う。
温もりに触れられなくても、そばにいたい気持ち、わかってくれるんじゃないかな。それともっやっぱり、俺の健康第一なのかなー。
ガウンを被っているだけじゃ、やっぱり寒いな……。でも眠くなってきた。やっぱり京さんの側だと眠くなる。答えを知る前に寝落ちしちゃったら、どうしよう。ま、それもいいよね。
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