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第21話
「汁物なら、ベッドで食べるより、やっぱりテーブルで食べたいな」
京さんが言うから俺は折れる。
「ちゃんとガウン着て。靴下履いて」
「はーい」
京さんが楽しそうに返事する。
「匂いでわかった?」
背中に声をかけると京さんがガウンを羽織る。パサリを広がる仔猫ちゃんの皮は、やたら大きく広がって、俺には鷹に見える。
「うーん。僕の想像ではけんちん汁かなー」
「あたり」
言いながら後ろから手を伸ばして抱きしめる。大好きな背中。大好きなにおい。思いっきり吸い上げてゆっくり息を吐くと、手を包む温もりがある。いつでも、どこからでも包んでくれる、あなたが好きです。
「僕も好きだよ」
……聞こえた? 心の声。
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