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第11話

翌朝、駅のホームで待っていた山野と落ち合って電車に乗った。 荷物はロッカーに入れておいたよと言う山野の言葉に、二人きりで過ごす週末の事を考えると、山野へのこの感情を抑えられるのかという心配はあるものの、それ以上に嬉しさが体を包み込んでいくのを感じていた。 「お母さんから、電話をもらったよ。」 「あぁ、良かった。母から何も言ってこないから、ちょっと気にしていたんだ。」 昨日、帰宅してから母に連絡をして山野の家に電話をしてくれるように頼んでおいた。 今まで特定の友達という者を作って来なかった僕が、いきなり友達を家に泊まらせたいと言った事に驚いたようで根掘り葉掘り聞かれたが、最後に「焦っちゃだめよ」と分かっているのか分かっていないのか、今の僕の胸に突き刺さる一言が書いてあったのを見て、母親ってやつは恐ろしいもんだなと苦笑するしかなかった。 「なんか家の母さんと意気投合したみたいで、長い間電話していた。 またお話ししてもいいかしらって言ってもらっちゃったって母さんが嬉しがっていたよ。αって聞いていたから緊張していたみたいだけれど、すごく可愛くて楽しい方なのよ~って喜んでた。」 「世の中のαってそんなに緊張するような対象なのか?」 「それは、やっぱり特別な存在だし。大人同士だと俺たちのような学生とは状況も違うだろうし。」 「そうなのか…。本当に僕って何も知らないんだな。」 ため息をつく。 「俺は今の福木がいいから、そのままでいいと思うけど。」 「え?本当に?!」 山野の言葉に心が明るくなる。 電車を降りて二人で話をしながら歩いていると、後ろから背中をバンと叩かれた。 「玉井!」 後ろを振り向くまでもなくその名前を怒りを込めて呼んだ。 案の定、にやにやと笑いながら玉井がよう!と片手をあげて立っていた。 そのまま僕の横を通り過ぎようとしたが、僕の隣にいる山野の姿を見て足を止めた。 にやにや笑いがなくなり、いきなり無言で僕の腕を掴んで山野から遠ざけるようにして早足で歩き出した。 「何をするんだ?」 玉井を睨みつけて腕を離そうとする。しかし、玉井の力は思いのほか強く、僕の抗議の声も聞こえていないかのように、黙って真っ直ぐに前を向いたままどんどんどんどん山野から離れて行く。 山野はしばらくこちらを見ていたが、首を振ると僕に向かって弁当を食べるジェスチャーをして下駄箱の扉を指さした。僕が分かったという風にうなずくと、手を上げて自分の下駄箱の方へと歩いて行った。 その間も玉井は僕の腕を掴んだままで校舎近くの木に向かって歩き続けていた。ただ、立っている場所が校舎からは少し離れている為か、こちらの方を歩いている生徒の姿はあまりない。校舎からは影になる木の裏に玉井が向かっていく。 掴まれた腕にじんわりとした痛みが広がってきた。いい加減、この状況を何とかしないとと思った僕が玉井の腕をひねり上げようとした瞬間、玉井が急に足を止めて僕に向き直った。 いつものへらへらとした顔とは違う玉井の真剣な表情に出しかけた声が詰まった。 「山野はやめとけ。」 そう言うと僕の腕を掴んでいた手を離し、悪かったなとさすった。 ぞくっとした悪寒のようなものがさすられた腕から頭の先に向かって走った。 「…っ!」 声が漏れそうになる。 玉井がニヤッと笑うと、手が僕の頬に触れた。 「そそるような顔するなよ。ヤリたくなる。」 そう言って顔を近付けてきた。 「ふざけるなっ!」 そう言って、玉井の手を叩き落とした。 「ふざけてる…ように見えるのか?」 玉井が僕の胸に手を置き、そのままぐっと木に押し付けた。 「苦しっ!」 押さえつけられた胸が圧迫され、一瞬呼吸ができにくくなった。 口を開けて酸素を取り込もうとした瞬間、玉井がもう片方の腕を僕の顎の下に押しつけてきたので、僕はぐいっと顎を持ち上げる形になった。 首も圧迫され、何とか酸素を取り込もうと先ほどよりも口が大きく開くのを玉井がニヤッと笑ってその顔を再び近づけてきた。 しまったと思っても呼吸を制限されている為、口を閉じられない。 まるでスローモーションのように玉井の顔が近づいてくる。 体をバタつかせ、顔を横に向けようとするが、しっかりと玉井の腕にホールドされている為、思った以上には動かない。そんな僕を見てくくっと笑うと、煽るなよ、とぞくっとするような声で囁いた。 瞬間、今まで感じたことのない熱さが痛みとなって一点に集まった。 「くぅっ!」 痛みに声が漏れる。玉井なんかでこんな状況にされるのはごめんだと頭では抗っても、体は素直に反応してしまう。 そんな僕の反応を楽しむように見ながら、僕の閉じた足の間に自分の足をぐいっと押し入れ、無理矢理開かせるとその部分に太腿をグリグリと押しつけてきた。 「んん?ここ、熱いぞ…ほら。」 やめろと言いたいが、他の声も出そうになるので声を出せない。 玉井が顔を近づけながら、今度は手を伸ばしてきた。 ズボンの上から優しく撫でられて、むくむくと下着の中で膨れ上がっていく僕を弄ぶ玉井が舌舐めずりした。 それを見て不快感を感じ、ゾワっと髪の毛が逆立つ。 ともかくこのまま玉井のやりたい放題にさせてなるものかと先ほどよりもばたつかせて、体を離そうとした。 それに気がついた玉井がため息を一つつくと目に怪しい光を浮かべて僕をじっと見つめた。 「嫌がるなよ…泣かせたくなる。」 そう言って僕の唇を噛んでから舌で舐め、そのまま口の中に舌を突っ込ませてきた。 ふざけるな! そう言って突き放したいのに、呼吸ができないからか、頭も体も動いてくれない。それどころか口を犯され、下半身を弄られているのに、先程までの玉井への不快感は消え去り、与えられる快楽に身を任せそうにさえなっていた。 膝ががくがくと震え出し、腰が揺れるのも止められない。 体の上と下とで玉井に出させられているクチュクチュとした淫靡な音に包み込まれ、自分のいる場所も分からなくなる。 「俺にしとけよ。」 玉井が唇を離さずに言った。 「あっ…ん」 僕の口から僕のものとは思えない甘い声が溢れた。 顔が真っ赤になっていくのを感じ、口を手で塞ぐ。 「へえ?」 玉井の顔にいつもの、いやそれ以上のニヤニヤ笑いが広がっていく。その目から逃れたくても横を向くことも叶わず、僕はギュッと目を閉じた。 「その手、絶対に離すなよ?」 玉井の言葉が何のことか分からずに目を開けると、玉井が僕のズボンのチャックを下げて中から玉井に弄ばれ、我慢でパンパンに膨れ上がった僕が目に入った。それを玉井の手が掴む。 「…っめろ」 抵抗する言葉をなんとか絞り出しはするが、それがもう空虚なものだということもわかっていた。 「ほら、イけよ。」 そう言って玉井の手で擦り上げられ、その手の中に我慢できずに出した白濁の液体をうまそうに舐める玉井を見ながら、僕は周囲が暗くなっていくのを感じていた。

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