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第18話
玉井が下駄箱で靴を脱ぐ。しかし、僕を下ろすわけにもいかず、かと言って流石に片手では僕の体重を支えられないので、上履きに履き替える事は諦めて靴下のままで廊下を歩き出した。
ペタペタと廊下に響く玉井の足音がなんだか可笑しくて、笑いそうになるのを我慢しようとして肩が震える。
「おい、大丈夫か?」
声を落として玉井が僕に尋ねる。
大丈夫だと頷くが、肩の震えが止まらない。
僕を勝手に心配した玉井が少し足早に、トイレに向かい出す。
ペタペタがペペペペに聞こえだして、危うく吹き出しそうになるギリギリで玉井がトイレに入り、個室に飛び込んでカギをかけた。
「おい、本当に大丈夫なのか?」
僕をトイレの蓋の上に座らせると心配そうに顔を覗き込んできたが、僕がくくくくくと笑っているのを見て、何だよと大きく息を吐いた。
「だって、お前の足音がおかしくて。ペタペタペタペタって。そのうちぺぺぺぺって聞こえだして。その図体であんな可愛い足音出すなよ。」
言いながらもあの音を思い出すと可笑しくて、笑いが止まらない。
「こんな風に俺に笑って話をしてくれるの初めてだな。」
玉井があの優しい目で僕を見つめてきた。
笑いが止まり、再び鼓動が高鳴る。
玉井の手が僕の頬に触れた。
「あ…っ」
僕の口から吐息がこぼれた。
「福木、キスしてもいいか?」
玉井が静かに僕に尋ねた。
「何でそんなこと聞くんだよ?いつもは好き勝手してくるくせに!」
そう言って、赤くなっていく顔を見せたくなくて横を向いた。
「あぁ、そうだな。」
僕の顎に手を添えて自分の方に顔を向けさせる。
「それで?」
「え?」
「キスしてもいいのか?」
「やだって言ったら?」
「いやなのか?」
「お前、ズルいよ。」
「ズルいか?」
「あぁ。したければすればいいだろ?」
僕の言葉に、それでもお前に言って欲しいんだよと玉井が僕の唇に親指を這わせる。
一瞬、目を瞑りそうになった。
そんな僕の気持ちを隠すように少し強めな口調で、
「だって、何て言うんだよ?いいよか?それともどうぞか?」
そう言うと、玉井がふーーんとにやにやとした顔をする。
「なんだよ⁈気持ち悪いなぁ。」
抗議する僕に、
「嫌だとは言わないんだなと思ってさ。」
「え⁈」
「いいよにどうぞだろ?嫌だって言わないんだなと思ってさ。少しは俺も希望を持ってもいいのか?」
そう言うと、唇ギリギリまで顔を近付ける。
「それは…どうせ嫌だと言ってもやるんだろ?だったら…。」
そう言った僕の顔をじっと見つめた玉井の顔が、すっと僕から離れた。
「だったら、今日はもう手は出さない。」
そう言って、しゃがみこんでいた玉井が立ち上がった。
「なんだよ、それ?」
僕を見下ろした玉井の視線に心がざわつく。
身勝手に僕の体に快感を与えていいようにしたくせに…。
「手は出さない…でもな、口は出す。」
そう言うと、手を後ろに回して顔を近付けてきた。
逃げようと思えば逃げられるのに、なぜ僕は逃げないのか?
玉井もじっと僕を見つめている。
再び唇ギリギリに玉井が近付くと、瞑れよとでも言うように瞼にキスをしてきた。
キュッと瞼を閉じると、玉井がそっと唇を合わせる。
ゆっくりと舌を絡め合うと、先ほど受けたままで放ったらかしにされていた疼きが再び僕の下半身を襲い、腰がもぞもぞと動き出す。
玉井の唇が離れ、顎から首に舌を這わせてくる。
「た…玉井⁈」
「じっとしてろよ。楽になりたいんだろ?」
玉井がすっとしゃがみ込んで僕の下半身に顔を近付ける。
恥ずかしさに我慢できず身をよじった。
「逃げるなって。」
そう言って僕の下半身をズボンの上から甘噛みする。
「あっ…」
その刺激に我慢できずに声が出た、
「直で触れて欲しかったら、自分で出しな。俺は手が出せないからさ。」
そう言って僕の顔を見上げる。
そんな恥ずかしい事ができるものかと顔を背けてはみたが、玉井が与えてくる刺激に我慢できず、手が無意識に動く。
「くっ…」
ぐっと手を握って我慢する。
そんな僕を見て、
「我慢してたら、いつまでたってもここから出られないぞ。お前、このままで教室に戻るつもりか?」
「それはっ!」
「だったら、さっさと出せよ。早く教室に戻りたいんだろ?」
「でも…」
「教室に戻るためだから仕方がないって自分に言い訳しろよ。ほら?」
玉井に言われた言葉を目を瞑って心の中で繰り返しながら、おずおずとズボンのチャックをゆっくりと下ろしていく。
ふぅっと玉井の吐く息が直接下半身にかかり、玉井がおまけなと言うと、下着をよけて直接舌を這わせた。
その初めての刺激に腰が震える。
「んぅっ…」
口が開きそうになるのをぐっと我慢する。
「手で押さえておけよ?」
玉井の言葉に、両手で口を押さえこくこくと頷く。
先端にぬるっとした感触を感じた瞬間、一気に全体をきゅうっと吸い込まれ、それと同時に舌が先端部分を刺激する。
その思った以上の刺激に手で覆った口から声が漏れ出る。
「ん…あぁっ…んぅぅん…あっ、もっ…う…あぁ…」
「出せよ。」
そう言って玉井がさっきよりも強く激しい刺激を与えてくる。
「もっ…出るっ!玉井っ!玉井っ!!」
僕は玉井の名を呼びながら玉井の口の中にまたも性欲を吐き出させられた。
ハアハアと荒い息を整え、汗ばんだ額を手の甲で拭う。
その手を玉井の手が掴むと、僕が甲で拭いた汗をペロッと舐めた。
「なぁ?」
そう言って。僕の手をそのまま自分の下半身に当てる。
「悪いが、貸してもらうな。」
そう言って僕の手を掴んだまま自分のズボンのチャックを下げると、下着の上から僕の手で包み込むようにして自分の下半身を握らせ、擦り出した。
「玉井っ!」
手を引っ込めようとするのを強い力でぐっと掴まれ、僕の目をもう片方の手で隠す。
「こうして目を瞑って難しいとは思うが山野のだと思って、少しの間我慢してくれ。」
そう言って寂しげに笑う玉井に、
「いくら目を瞑ったって山野のとは全然違うし…少しなら貸してやるから、さっさとしろよな。」
そう言って、目隠ししている手をどかす。
「だから、福木が好きなんだよ。悪いな。」
そう言って、僕の手を使って自慰をする玉井を見ながら、無意識にごくりと喉が鳴りそうになった。
玉井が声を殺して唇をかみ、目をぐっと瞑る。
イく瞬間、絞り出すように「福木っ!」と僕の名前を呼んだ声とその顔に、危うく下半身がまたも反応しそうになる。
荒い息で玉井が悪かったなと掴んでいた僕の手を離した。
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