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第23話
結局、全てが玉井の思惑通りに進んでいった。
放課後、三人で玉井の家の病院に向かった。ここで僕達と別れて山野が病院に行ってくれれば、やっぱり僕もと山野について病院に入ってしまおうと計画していた。
しかし、その計画は玉井によって壊された。
「山野も俺の部屋に寄って、荷物をおいてから病院に行けよ。どうせ帰りに寄るんだし、手ぶらの方が楽だろ?なぁ、福木もそう思うだろ?」
玉井が山野から見えない角度で僕にニヤッと笑いながら言う。
お前の計画なんてお見通しだよとでも言うように…。
クソっと思ったが、反対できる理由もなく、そうしなよと山野に答えた。
じゃあ、そうすると三人で玉井の部屋に入り、山野がジャケットや鞄を置く。
僕らがこの後、何をするのか、されるのかなんて思いもしていない笑顔で、待っててねと僕に向かって手を振りながら玉井の部屋から出て行った。
「さて…」
玉井が山野を見送って扉を閉めるとカチャリと鍵をかけたとわかる音がする。
ビクッと体が飛び上がるように反応する。
「別にとって食うわけじゃない。それに最後まではしないよ。さすがにな。」
そう言って、玉井がニヤッと笑いながら僕に歩み寄って来る。
玉井と対峙したままで後ずさる。
ゆっくりゆっくりとまるで獲物を狩るかのように玉井が近付いてくる。
絶対に逃げられないと頭では分かっているのに、ゾクゾクとした悪寒が全身を走り、逃げなくてはいられない。
コンと足に何かが当たる。振り向くといつの間にかベッド際に追い詰められていた。
やばい!と離れようとしたが、一気に近付いた玉井の手が僕の胸をどんと押した。
「うわっ!」
ベッドの上に転がった。
すかさず玉井が僕の上に馬乗りになると、自分の上半身の服を脱ぎ捨てた。その引き締まった身体に、僕の下半身がくんっくんっと反応する。
「福木はここの方が素直だな。」
そう言って、玉井が優しくズボンの上からなぞりあげるようにさする。
「あ…ああっ」
ほんの少しの刺激にも最近は敏感に反応してしまう。
玉井が僕のズボンのチャックを下ろし、そこから中に手を入れると下着の中から脈打つそれを取り出した。
「福木のこれ、ちゃんとこうやって見るのは俺の方が山野よりも先なんだよな。」
そう言って僕を見つめると、先端をぺろっと舐めてちゅっとキスをする。
「たま…っい、やめっ…んっ…」
それにぶるっと体が震え、恥ずかしさに身をよじる。
腕をぐっと掴まれて大の字のように体をベッドに押さえつけられた。
「咥えたのも俺が最初。」
そう言うと、パクッと躊躇なく咥えて刺激を与えられる。
「んあっ…あぁ…あっあぁ…」
しかし、いつもとは違い途中で口からぬぽんと出すと、僕の抵抗を軽くいなして着ているものを剥ぎ取り、全裸にした。
「お前のこの姿を見るのも、俺が最初なんだよな。」
明るい電気の下で裸をじっと見つめられ、恥ずかしくて玉井の視線から逃れようとするが、しっかりと押さえ付けられた体は一切の自由を奪われ動けない。
「そして、ここも俺が初めて。」
満足そうに僕の上から下までを眺めまわした後、玉井にうつ伏せにされ、無意識に尻にキュッと力が入る。
玉井が手を伸ばしてベッド脇から何かを取った。パチンと蓋の開く音がする。
「今回はきちんと準備してあるからな。」
たらーっと液体を背中から尻にかけて垂らされ、それがローションだとわかった。
「くうぅぅっ」
つーっと玉井の指がその液体をなぞり、渦の周りをゆっくりと解していく。
「やだっ!玉井やめ…ろ…っ!」
玉井から与えられる刺激によって言葉が飛ぶ。
ぬぷっと指が入れられ、ローションを指でかき回すグチュグチュとした音が部屋の空気も粘着質なそれに変えて行った
「一ヶ月も前だから、少し固いな。でももう、ほら三本入った。あぁ、福木のこんな姿、俺しか見たことがないんだな。この中もこんなにひくついて俺を誘ってる…福木のここエロ過ぎてタマンねぇ。」
そう言って、一層激しく指を出し入れする。
しかし、例の場所には擦りはしても触れられず、無意識にそこへの刺激を求めて腰が動いた。
「なぁ、イきたいんだろ?だったら、お願いしなきゃ。どこをどうして欲しいって、言ってみろよ。」
玉井が僕に覆いかぶさるようにして耳元で囁く。
「っなこと、言えるかっ!」
そう言って突っぱねてみても、与えられる刺激が足りずにイけない体が悲鳴を上げる。
「ほら、楽になりたいんだろ?言えよ?」
玉井が嫌がらせのように周囲にトントンと刺激を与えてくる。
あとちょっと、あと少し動けばと腰がそこに指を持っていこうと動くが、玉井がそこに当たる直前で指を動かして刺激が中途半端で終わる。
「福木、ズルはダメだろ?
そろそろ山野も帰ってくるんじゃないのか?ほら、どうされたいか言ってみろって。」
玉井が首筋に舌を這わせる。
「山野がそろそろ帰ってくるって言い訳にして、ほら、言えよ?」
頭の中でさっき見た山野の笑顔が浮かぶ。
「イ…かせて…」
「どうやって?」
「…僕の…例の場所…触って…欲しい。」
「例の場所…ねぇ。」
玉井がはぐらかす。
「玉井っ!」
僕がたまらず大声を出した。
「分かったよ。んな顔すんなって。ここ、だろ?」
そう言って、玉井が僕の触って欲しかったところをトンと刺激する。
「ああっ!」
頷きながら声が止まらない。
必死にシーツを掴むがその心許なさに玉井の名を呼ぶ。
「どうした?」
「気持ち…良すぎ…て、こわ…い。」
玉井がクッと唇を噛むと、僕を仰向けにして抱きしめた。その力強さに安心した僕は、玉井にぐっとしがみつく。僕に指で刺激を与えつつ、玉井が僕の足の間に、僕が玉井の足の間に下半身を挟んで腰を動かし、二人で唇を合わせて果てた。
山野が戻って来る頃には、再び何事もなかったような顔をして、二人でおかえりと山野に笑顔を向けていた。
後悔を抱えながらも、来月もよろしくと山野が玉井にに言うのを聞いて、火照りそうになる体を見透かすような玉井の目から逃れるように、山野の腕を取って挨拶もそこそこに駅に向かった。
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