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第26話

「あのさ…」 いつもの放課後、玉井と別れて二人きりになった電車の中で山野が切り出した。 「最近、玉井と仲良くない?」 突然の質問に言葉が出ない。 「え?」 かろうじて反応はしたが、山野の顔に疑いの色が広がっていく。 「なんかさ、昼に二人で来る時とか、三人で一緒にいる時も感じてるんだけど、二人の間に入り込めない感があってさ。なんなんだろうなぁ?って。」 「そんな事はないと思うけどなぁ…まあ、これだけ一緒にいるから、前よりは仲は良くなっているってだけの事じゃない?」 僕の答えに山野が頭を振る。 「ううん、絶対に何かある。って言うか、なんとなく思っている事はあるんだよねぇ…」 そう言って、僕を上目づかいで見つめる。 玉井との事がバレているのではという焦りと、山野の表情の可愛さにドキドキする。 あまり人のいない車両、三人掛けに二人で座っている僕と山野。 きょろきょろと周囲を見渡しても、僕らに注目している人はいない。 ここのところ僕の家だけではなく、学校でも人の目のつかないところで、玉井と僕はキスやそれ位の事をしていたが、山野とはそういう事をする場所も時間もなかった。 しかし、この状況でなら…今なら少しくらいならできるんじゃないか? もう一度周囲を見渡してからおもむろに、 「ねぇ、山野?」 顔を近付けて耳元で囁く。 「福木、近いよ!」 山野もきょろきょろと周囲を見回すが、誰も僕達を見ていない事を確認してほっと息を吐いた。 「ちょっと下向いて?」 「何するの?」 「いいから、ちょっとだけ下向いて?」 分かったと山野が下を向く。 山野の膝をトントンと指で叩き山野がこちらを向いた瞬間、僕の顔が山野に被る。 山野が一瞬体をこわばらせた。 「しーーー。」 唇を合わせたまま言うと、山野がこくんと頷いた。 暫くして唇を離すと、山野が僕の肩に自分の頭を乗せる。 「福木ぃ…」 見ると、山野の下半身がもぞもぞと動いている。 「起っちゃった…」 両手で隠してるそれをちらっと僕に見せる。 確かに、ズボンが少し盛り上がっているのが見えた。 「我慢、出来る?」 「何を?」 「声。」 僕が何をする気なのか察した山野が、顔を真っ赤にして頭を振った。 「でも…じゃあ歩ける?」 「無理だと…思う。」 山野がか細い声で答える。 電車は刻々と山野の駅に近付いている。 「山野、僕の指噛んでていいから。」 そう言うと、ジャケットを脱ぎ膝の上にくしゃっと置いた。 その下に手を潜らせ、山野の手の下からズボンのチャックを下す。 片方の手は不自然にならないように下を向く山野を心配するように顔に近付け、その指を山野が口に入れた。 僕が頷くと、山野が僕の顔を見上げて早くぅと声を出さずに唇を動かす。 「いくよ?」 僕の手が下着の上から山野を握り擦り出す。 山野が声を漏らしそうになり、僕の指を噛んだ。 「っつ!」 僕の上げた声に、山野が口を開けた。 「ちょっとびっくりしただけだから大丈夫だよ。ほら、もう少しだから噛んでて?」 そう言って山野の口の中に指を戻すと、こくんと頷いた。 再び擦り出すと、極まり出した山野の手が僕の手をぐっと握り、指を強く噛む。 「んーーーーー」 山野の絞り出した声と一緒に、僕の手が温かい液体で濡れた。 「大丈夫?」 はぁはぁと息を吐く山野に尋ねると、山野が口から僕の指を出した。 「ごめん、血が出ちゃった。」 そう言って、僕の指を舐めた。 「俺が福木を噛むなんて、まるで反対だね。」 山野が指を口に入れ、血を出すように吸い込む。 その刺激が玉井の口の中と被り、僕の下半身がむくっと起き上がった。 「福木…それ。」 山野が僕の下半身を見て、まずいという顔をした。 「大丈夫、これくらいなら駅に着くまでには落ち着くと思うし。山野は降りな?」 もうあと少しで山野の降りる駅に着く。 山野がでもと僕の顔を見上げた。 「大丈夫だからさ。」 僕の言葉に、嘘だろ?と山野が答えた。 「大丈夫なわけないよね?こんな福木を俺が一人にして帰れるとでも思っているの?」 山野が珍しく怒って言う。 「歩けるなら俺とここで降りよ?人の少ないとこ知ってるから!!」 山野の勢いに押されるように頷く僕のカバンを山野が持ってくれ、腕を取って止まった電車から二人で降りた。 駅のトイレは素通りして改札を抜ける。 「ここはさすがにまずいから。」 そう言って、駅を出るとあまり人通りのない静かな住宅地のはずれにある公園に入った。 すでに夕方から夜に変わり始め、公園は賑やかな声が去った後の、静かな眠りにつこうとしていた。 こっちと山野が僕を引っ張り、トイレの個室に僕を押し込め自分も入って鍵を閉めた。 「山野、僕だけで大丈夫だよ?」 「やだ!」 「え?」 「ねぇ、玉井とどこまでやったの?」 扉にぐっと僕の背中を押し付けて、山野が僕に迫る。 「な…何のこと?」 つい目が泳ぐ。 「あのさ、二人を見ていれば分かるよ。」 山野が寂しそうな顔をする。 「山野…」 「だから…俺にもやらせて!!」 「え?」 言うが早いか山野がしゃがみ込んで僕のチャックを下すと、中から僕を取り出し咥えた。 「山野っ!!」 驚いた僕が山野の口から取り出そうとするのを、 「ひもち…よくない…?」 咥えたままで、悲しそうに言う山野が愛しくて、そうじゃないと首を振る。 「気持ちいいよ、山野の口の中。熱くて…ヤバい。」 山野の顔を手でなぞる。 「よかった…」 玉井の的確に快楽を与えてくるそれとは違うたどたどしい舌使いに堪らない気持ちになる。 「山野、もうっ!」 イきそうになる僕を山野が口から出すと、僕をトイレの蓋の上に座らせた。 「山野?」 「どうせ、玉井とはやってるんでしょ?だったら俺だってやっていいよね?」 そう言って、自分のズボンと下着をばっと下すと、僕に背中を向けて腰を下ろし始めた。 「山野、ダメだ!」 僕がその腰をぐっと引き上げる。 「準備もしないで、こんなことしたら…」 自分の体験から山野の体を心配する言葉が出た。 山野がそれを聞いて、やっぱりと呟くと下を向いたままで悲痛な声で叫んだ。 「してある!もうずっとしてあるんだ!!」 山野が涙を流して僕の手を振りほどき、再び僕の上に腰を下ろそうとする。 それを再びやめさせようとする僕に山野が鞄からローションを出すと、それを指に垂らした。 「福木、見てて?」 そう言うと一本、二本、そして三本の指がぬぷっと山野の渦に中に飲みこまれ、ぬちゅぬちゅと音を立てて出たり入ったりを繰り返す。山野の口は苦しそうに息を吐きながらも時折り甘い声が混じる。 「ね?だから、大丈夫だよ。福木、僕に福木を頂戴…」 「山野っ!!」 そのあまりに隠微な姿に我慢できず、僕の手が山野の指を引き出すと、そのまま座らせるように山野を引き寄せた。山野が言う通り、僕が山野の中にずずずずとなんなく入っていく。 山野の背中がぐっと反り大きく息を吐く。 「福木ぃぃぃぃっ!!動いてぇっ!!!」 山野が言うが早いか僕が山野の腰を掴んで突き動かす。 玉井が僕にするように奥の方を突くと、山野の体がビクンと反応し、声が止まらなくなった。 いつの間にか僕が立ち上がり、扉に手をついて山野が立つ。 それを後ろから覆いかぶさるようにして、僕の欲を山野の中に吐き出す行為を続けた。 突然ふわっと甘い匂いが微かに僕の鼻を刺激した途端、あの時の欲望が僕の中で暴れ出した。 グイっと山野の腰を掴み僕の腰を一層激しく奥に向かって突き動かす。 「いやぁぁぁぁぁっ!!!」 山野の泣き叫ぶ声も僕にとっては甘い囁きに聞こえ、腰が止まらない。 「山野、噛みたい!!噛ませてっ!!!」 首筋に歯を立てる僕に、山野が青ざめた顔でダメと叫びながら、がくがくと全身を震わせて扉に向かって放出するのを確認し、僕も山野の中に放出しながら、ぐぐっと歯を立てた。 「あぶなかったぁ。」 僕の手に山野がコンビニで買ってきた包帯を巻くのを見ながらため息をつく。 「ごめん、僕がこんな風にしちゃったから、だから…ごめん。」 山野が涙を流す。 それを舌で舐めとると、チュッと唇を合わせた。 「山野、泣かないで?二人とも何ともなかったんだから。あ、玉井への秘密は増えたけど。」 「あのさ、福木。」 山野が顔を真っ赤にして僕の胸に顔をうずめる。 「明日も、ここに来ない?」 その意味を察した僕がいいよと頷くと、山野が嬉しそうに僕を見上げて微笑んだ。 「その代わり、明日は僕に全部任せてくれる?いい?」 「…うん。嬉しい。」 そう言って僕の胸に顔をうずめる山野をぎゅっと抱きしめた。

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