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食堂は天国です。
無事に午前の授業を終えた俺は現在、食堂に来ている。
いつもなら『生馬~俺の生馬~』と追いかけ回していたのだが、そんな事をしている暇はない。
なぜならば、この高校は男子高校。
しかもオメガバースの世界。
目の前でBLが繰り広げられているわけですよ。
神様ありがとうございます。
番になっている二人が寄り添ってご飯を食べてるカップル、あ~んしあってるカップル、隣に座るのを恥ずかしがってやんや言っているカップル・・・・。
あああああああああ幸せ!!!
スマホをいじっているふりしながらガン見ですわ。
何この天国。ちょっとおおおお!!
美形x平凡、体格差、兄x弟、年下攻め、などなど。
先生!!!タグの整理が追いつきません!!
おっと、先生x生徒カプかあれは!!
もう思い残すことはありません。
眼福!!至福すぎる。
前世の俺の徳はめちゃめちゃ積めていたのでは?
「もう追いかけ回すのやめたの?」と、邪魔が入った。
横を見ると後ろの席の松前くんじゃありませんか。
せっかくのお楽しみタイムを邪魔されて真顔になる俺。
おとなしく昼食を取り始める。
この親子丼めっちゃトロトロでうまぁ幸せ♡
顔もほころびますわ。
「生馬~からは卒業?」
机に肘ついて顔を支えるんじゃありません。
ご飯食べなさいよ。
全くお坊ちゃんのくせにお育ちがよくありませんわよ。
「うん。もう二度と近づかないと約束したし、それに今それどころじゃない。」
え?待って、こんなにいっぱい人がいるのにそんな事お構いなしに二人の世界に入って、幸せそうに見つめ合ってるカップルが!!!
いけそのまま、チューや!!
あああああああああ来る!!
うひょおおおおおお!!!
こんな間近で拝める日が来るなんて、神様仏様本当にありがとうございます。
もうモブでいいです。
観察日記かけんちゃうかな?
いっそのこと書いてまうか?
ぐふふふふふふふこれはたまらん。
「はぁ♡満足。親子丼めっちゃ美味しい。」
胸もお腹もいっぱいになったので、テーブルをフキフキしてから食器を返却して教室に戻ろう。
「ちょ、ちょっと、どこいくの?生馬来てないよ?いいの?本当にいいの?」と食堂から出ようと扉に手をかける俺の手を掴んで後ろに振り向かせたのは、
松前 匠(まつまえ たくみ)。
たしかこの子アルファだったよな。
「約束したし、もういいかなって思ってるけど、松前くんはなんかあるの?」
正直、俺の黒歴史にしかならない行動をとった相手に会いたいわけがない。
顔見るたびに羞恥心に駆られるわ!!
「いや、あれだけの行動してたのに、急に大人しくなるからさ。何というか陰ながら応援してたという「笑いながら言ってんじゃねぇ!!」
めちゃくちゃバカにしてんじゃねぇか!!
本当に恥ずかしい。
なんであんな行動取れてたのか、俺のアホさが周りの娯楽になってたんだろうなぁ・・・・・・。
ちょっと中庭に穴掘って埋まってきていいかな・・・。
まじで、アホすぎて生き恥さらしすぎて転校もいいかもしれないとか考える。
しかし、この学校学費も入学金も高かったんだよなあ。我儘なんて言えるわけがない。
真っ赤な顔になってるのがわかるから、顔なんてあげられやしない。
「もういいだろ?手離してくれ。教室に戻るんだ。」
上目遣いになるのは仕方ないだろう。
顔があげられないからな!!
「あ、あぁ・・・。すまん」
そっと手を離してくれたけど、なんで松前が赤くなってんだよ。
意味わからん。
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