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第一章・4

 まだあるよ、と部下に畳みかける和正だ。 「石膏の粉塵を、子どもたちが吸わないようにするためには?」 「マスク、ですか?」  解ってるじゃないか、と和正はさらに笑顔をほころばせた。 「さすが冴えてるな、真鍋くんは。じゃあ、ゴーグルとマスク、そのほか必要だと思われるものを挙げて、見積もりを取ってくれ」 「解りました!」 「企画そのものは、とても素晴らしいんだ。この調子で、頼むよ!」 「はい!」  意気揚々とデスクに戻って行く真鍋を見届けた後、和正は他の社員を呼び寄せた。 「秋山(あきやま)くん、ちょっといいかな」 「はい」 「夏のキッズイベント、副担当は君だったよね。真鍋くんのフォローを頼むよ」 「彼、何かやらかしましたか?」 「初めての主担当で張り切ってるが、細部の見落としが無いように、注意しててくれ」 「承知しました」  秋山が真鍋の元へ行った後、和正は息をついた。  今の若い子は、ちゃんと持ち上げてやらないと凹みが早い。  指摘はするが、いい点は認めて伸ばしてやらなければならないのだ。 「しかし、気を遣うな……」  そう思った時、頭に浮かんだのはあのプラネタリウムだった。

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