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第一章・9

「鳴滝さん、朝ですよ。起きてください」  祐也は、くすくす笑いながら和正にささやきかけた。  あれから、和正は頻繁に祐也の勤めるプラネタリウムを訪れた。  日中は業務があるので、どうしてもくる時刻は19時の上映になる。  祐也にとって、仕事の疲れでいつも寝入ってしまう和正をそっと起こすのは、恒例になっていた。  ただ、今日は勝手が違った。  和正は口の端をにやっと上げて、片目だけを開けて見せた。 「ふふふ。今夜はちゃんと起きてたよ」 「もう。寝たふりだったんですか?」  シートから立ち上がり、和正はビルの南口へ向かう。  和正がそこで祐也を待つのも、恒例になっていた。  少し遅い夕食を、二人で食べる。  和正にとっても祐也にとっても、それは楽しいかけがえのない時間になっていた。

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