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第二章・3
まさか、鳴滝さんが僕を指名してくるなんて。
ほのかに芽生えていた恋心の行方が、解らなくなってしまった。
(鳴滝さんは、僕の身体が目当てだったのかな)
だからプラネタリウムに通い、食事をご馳走してくれたのかな。
そう思うと、楽しかった日々がすべて崩れて壊れていく気がした。
「あの、ね。清水くん」
「はい」
「下心なんて、無いから」
「え?」
すでに水割りを干した和正は、自分で酒を作りながらゆっくり言った。
「君の夜の顔、見てみたかったんだ。プラネタリウムでは見られない顔が、見たかった」
でも、と一口酒を含んだ後、和正は苦笑いをした。
「変わらないね、君は。裏表のない、素敵な子だよ。やっぱり」
「鳴滝さん」
酒を飲み、互いに身の上を話して1時間ほど過ごした。
「じゃあ、大学時代の奨学金を返済するために、このバイトを?」
「プラネタリウムだけでは、生活していくのがやっとで」
「あと、いくら残ってるの?」
「200万円くらいです」
はぁ、と和正は溜息をついた。
最近、この手の若者はいくらでもいる。
可哀想に、と思っていたが、他人事ではなくなった。
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