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第二章・6
「朝ですよ。鳴滝さん、起きてください」
「……んぁ?」
和正は、一瞬自分がどこにいるのか解らなかった。
プラネタリウムじゃない。
あぁ、ここは『アガメムノン』の一室だ。
「俺は、また眠ってしまったのか!」
「ぐっすり、お休みでしたよ」
笑う祐也の表情は、明るかった。
よかった。
俺は、彼を傷つけずに済んだんだ。
だから、勇気を出して言ってみた。
「あ~あ。せっかく清水くんの部屋にお邪魔したのに、エッチできなかったな!」
「あ、あ。あの……」
よかったら、また来てください。
祐也は、プラネタリウムの時と同じことを言った。
「いいの?」
「待ってます」
時間切れとなり、キスもできずに和正は部屋を後にした。
「待ってます、か」
知らない内に口づけされた唇を指でなぞり、和正は祐也の言葉を繰り返した。
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