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第二章・7

 その後も、何事も無かったかのように、和正はプラネタリウムへ行った。 「鳴滝さん、朝ですよ。起きてください」 「あぁ……?」  今回は、本当に寝入ってしまっていた。 「清水くんの歌、聞きそびれたな」 「来月からプログラムが変わりますから、あと一回しか機会がありませんよ」 「次は、ちゃんと起きてるよ」  席を立った和正は、不安を抱えながら南口で祐也を待った。  前回、風俗で働く彼を暴くようなことをしてしまったのだ。  嫌われたかもしれない。  一緒に食事を、してくれないかもしれない。  そんな怯えを抱き、今か今かと祐也を待った。 「お待たせしました!」 (良かった……!)  ホッとした顔を気取られないように、和正は明るく祐也を誘った。 「今日は、何を食べようか。リクエスト、ある?」 「いつもご馳走していただいて、すみません。今夜は、僕が奢ります」 「いいのいいの。年上の財布なんて、若い子に開くためにあるんだから」  じゃあ、と祐也は和食が食べたいと言ってきた。

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