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第二章・8
「焼肉とか、食べないの?」
つき出しの酢の物を箸でつつきながら、和正は訊いた。
「今の若い子は、まず肉でしょ」
「僕、お肉食べ過ぎるとお腹壊しちゃうんです」
「なるほど」
祐也は、天ぷらも残した。
脂っこいものは、苦手だと言う。
「草食系なんだなぁ、清水くんは」
「よく、言われます」
祐也の残した天ぷらは和正の腹に収まり、健啖ぶりを示した。
「鳴滝さんは、おいしそうに何でも召し上がりますね」
「俺、食いしん坊だから」
笑う、祐也の笑顔が可愛い。
共に笑い合いながらも、和正は緊張していた。
まもなく、食事が終わる。
そして俺たちは、別れるだろう。
問題は、その後だ。
(清水くん、またアガメムノンに行くのか……?)
そして、客を取るのだろうか。
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