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第四章・2
「ちょっと、バス使ってもいいですか」
「大丈夫かい?」
祐也はふらつく足取りで、バスの方へと歩き始めた。
(吐き気がして、辛い)
クリーンタイムの時に散々吐いたつもりだったのに、まだ残ってるのか。
具合の悪さで頭がいっぱいの祐也は、後ろから和正が心配そうにのぞき込んでいることに気づかなかった。
「う、っく。うぅ、う……っ!」
祐也は、吐いた。
それは今しがた胃に入れたアルコールだけではなく、粘りのある体液も含まれていた。
和正は、眉をひそめた。
(さっきの客に、フェラして飲まされたのか)
背中をさする和正の手に、祐也は驚いた。
「な、鳴滝さん」
「全部吐いて。そしたら、楽になるから」
顔を真っ赤にしながら、祐也は吐いた。
知られた。
(僕がお客様の精液飲んだこと、バレちゃった)
もう、消えてしまいたい。
涙をにじませながら、祐也は吐き続けた。
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