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第四章・3

 祐也が全部吐き終えた後、和正はその体を支え、ベッドに寝かせた。  毛布を掛け、温めてやった。 「ミネラルウォーター、飲める?」 「すみません。いただきます」  しかし、横になったままでは飲めない。  そこで和正は、水を口に含んだ。  そして、口移しで祐也に飲ませた。 「……!」  祐也は、目を見開いた。  冷たい水が、和正から送られてくる。  喉を通るそれは、どんな飲み物よりおいしく感じられた。  水を飲み終えた時、祐也はうっとりと瞼を閉じていた。  目を閉じたまま、和正に謝った。 「すみません。僕の口、汚いのに」  さっきまで、男のペニスをしゃぶっていたのだ。  精液を吐いて、汚しもした。  だが和正は、そんな祐也の鼻を軽くつまんだ。 「汚いもんか。俺と一緒に、夕食を食べた口だぞ?」 「鳴滝さん……!」  二人は、再び唇を合わせた。  今度はキスという名の、口づけだった。

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