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第四章・4
何度も角度を変え、熱いキスを交わしながら、祐也は和正のネクタイを解いていた。
シャツのボタンを外し、腰のベルトもカチャカチャ言わせながら解放した。
「清水くん。清水くん、いいの? 具合は大丈夫なのか?」
「抱いてください、鳴滝さん。僕を、抱いて。お願い」
和正の衣服を緩めた祐也は、手早く裸になった。
「無理、しないで。俺はまた、君に会いに来るんだから」
「今、抱いて欲しいんです。頼みます」
ふふっ、と和正はいたずらっぽく笑った。
「客は、俺だよ? スタッフが逆におねだりするかなぁ?」
「あ……」
ごめんなさい、と動きを止めてしまった祐也を、和正はそっとベッドに押し倒した。
「こんなシチュエーションで悪いけど。清水くん、抱いてもいい?」
「は、はい。お客様、ですから。鳴滝さんは」
「できれば、客でない俺に、抱かれて欲しかったんだよ」
「え?」
和正は、祐也の髪をかき上げながら耳元で囁いた。
「好きなんだ、清水くん」
「鳴滝さん」
そのまま耳朶を噛み、首筋に唇を這わせた。
そこには前の客が残したキスマークの紅い痕があったが、かまわず上から優しく舐めた。
「あっ……。は、ぁ。ん、ぅん……っ」
祐也は、熱い息を吐いた。
(気持ち、悦い……)
この仕事をするようになってから、初めて心からリラックスして快感を覚えている。
「鳴滝さん、素敵です……」
「和正、って呼んでくれる? 祐也」
祐也は、歓喜に震えた。
「和正さん」
二人の仲が、より深くなった瞬間だった。
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