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第六章 マンションにて

「お化け屋敷へ、ようこそ~」 「えっ!? 出るんですか!?」 「冗談だよ♡」 「もう……っ!」  祐也は、和正に連れられて彼のマンションへ来ていた。  家具は少ないが、どれも上質。  装飾の類はいっさい無い、シンプルな部屋だった。  天井が高く開放感があり、住み心地のよさそうな印象があった。 「どうかな。気に入った?」 「え? ええ。はぁ……」  ホントに僕は、ここで和正さんと一緒に暮らすのかな?  現実味の湧かないまま、祐也は和正と部屋を見て回った。 「ここが、キッチン、奥がリビング。こっちはバスルームで、向こうが寝室……」  リビングの他に洋室が3つもある上、収納スペースも充分。  バルコニーも広く、ゆっくり星が観られそうだ。  狭い自分のアパートと比べて、祐也はおずおずと訊ねてみた。 「あの。家賃、どれくらいするんですか?」 「家賃は、無し。買っちゃったんだ、マンション」  こんな高そうな部屋を、ぽんと買うなんて! (確か和正さんは、イベント会社にお勤めだったよね)  一介の勤め人が、こんな贅沢な部屋を購入できるんだろうか。  その答えは、和正の書斎にあった。

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