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第六章・5
二人でピザを頬張りながら、祐也は和正に訊ねてみた。
「和正さんは、普段どんなものを食べてるんですか?」
「ん? 昼はコンビニ、夜は外食。朝はほとんど食べないなぁ」
「ダメじゃないですか。食事はちゃんと摂らないと」
「えへへ。怒られちゃった」
「真面目に聞いてください!」
これはやっぱり、早いうちから和正のために食事を作らないと、と祐也は使命感に燃えた。
(でも、大丈夫かな。余計なこと、って思われないかな)
大学時代に付き合った彼氏は、些細な事でよく怒った。
魚料理を作って待っていると、今日は肉料理の気分だった、と怒り。
誕生日プレゼントを渡すと、事前に欲しいものを訊ねてから準備すべきだ、と怒り。
映画でも観に行かないかと誘うと、演劇の方がいい、と怒り。
終いには、祐也は人の心に土足で踏み入るやつだ、と一方的に別れを告げられた。
(和正さんは、そんな人じゃない。と、思うけど……)
これまでとは違う。
恋を越えて、共に一つ屋根の下で暮らすのだ。
さらに愛へと深まる布石ではあるが、逆にお互い幻滅する危険もはらんでいる。
(僕たち、うまくやっていけるかな)
曇ってしまった祐也の表情を和正は見逃さなかった。
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