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第七章・2
押したり引いたりしながら、結局祐也の家事月給は20万円と決まった。
「すみません。毎月20万円、全部返済に回しますから」
「よしてくれよ。まだ若いんだから、いろいろ遊んでよ」
すったもんだはあったが、こうしてようやく祐也は和正のマンションに移って来た。
本当に少ない荷物を6畳の洋室に運び込み、引っ越しはあっという間に終わってしまった。
「よし、今夜は引っ越し祝いだ! 何か外で食べよう! 何がいい? 寿司? 懐石?」
張り切る和正に、祐也は恐る恐る提案した。
「あの。僕が夕食作ってもいいですか?」
「え!? 祐也の手料理!?」
「はい。あまり自信はないんですけど」
はぁ、と和正はうっとりとした息をついた。
「いいね、それ。憧れたこともあったな、そういう展開」
ぜひ、祐也の料理が食べたい、と和正は顔をほころばせた。
祐也はその了承に安堵しつつ、複雑な思いも抱いた。
(憧れたこともあった、って。和正さん、家庭を作るの放棄してたのかな)
彼の過去に、何かあったんだろうか。
そう思いつつも、無邪気に訊き出せない祐也だ。
訊けば、自分の過去も語らなければならなくなる。
未だ、全てをさらけ出せずにいる祐也だった。
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