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第七章・3
好き嫌いは何もない、という和正に、祐也は餃子をたくさんこしらえた。
キャベツをきざみ、豚挽肉と合わせたタネは、旨味たっぷりでジューシー。
皮は、モチモチカリっと仕上がっている。
「美味い! いくらでも食べられるよ!」
「熱いうちに、たくさん食べてください」
「祐也も食べて。さっきから、包んでばかりじゃないか」
「あ、はい。サラダも、ちゃんと食べてくださいね」
餃子を食べながら、和正はしみじみと幸せを噛みしめていた。
(こんなに幸せで、いいのかな)
そして、震えた。
(もし、この幸せがいつか失われるかもしれないと思うと……!)
よそう、と首を振った。
俺は、祐也に惚れたんだ。
祐也に、賭けたんだ。
「どうしたんですか?」
「あ、ごめん。少し、喉につかえた」
ビールを飲み、心を鎮めた。
祐也を見て、気持ちをなだめた。
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