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第十章 二つの告白

 風邪をひいて熱を出した、という古典的な嘘をついて、和正は会社を休んだ。 「さ、祐也。コーヒーが入ったよ~。お菓子も食べて食べて♡」 「会社サボってこんなにのんびりしてて、いいんですか?」  たまには、いいさ。  そう言って、和正はコーヒーを一口飲んだ。  祐也は、こんなくつろぎの中に居ながら緊張していた。 『俺も有給とって休むから。ちょっと、聞いて欲しい話があるんだ』  昨夜の、彼の言葉。  その話が、今から始まるんだろう。  祐也がコーヒーを半分ほど飲んだ頃から、和正は語り始めた。 「両親が自動車事故で亡くなった話、以前したよね」 「はい」 「あれは、俺のせいなんだ」  和正は静かに、瞼を伏せた。

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