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第十章・3

 祐也は、コーヒーを飲むことも忘れて、和正の話に聞き入った。 『いいお嬢さんの写真を預かってるから、ちょっと見てみなさい』  そのように、母に電話で言われた和正は、それなら俺の所に持って来てよ、と答えた。  今思えば、自分が実家に見に行けばよかったのだ。  こう言えば諦めるだろう、と思ってもいた。 「そうしたら、久しぶりに会いたいから二人揃ってアパートに行く、って言い出してね」  これはいよいよ、カミングアウトするしかない、と和正は覚悟をした。  当日、アパートを掃除し、お茶の準備をし、和正は両親を待った。  だが、約束の時刻を過ぎても、二人は到着しなかった。 「俺が早くに、男性が好きだと告白していれば。俺が実家に帰っていれば、両親は事故になんか遭わなかったんだよ……」  苦し気に吐き出した後、和正はうなだれてしまった。

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