92 / 97

第十一章・4

 マンションに戻り、祐也は和正と一緒に移動プラネタリウムについて話し合った。 「入院して、星が見られない。夜空の明るい街に育って、天の川を見たことがない。そんな人たちに、素敵なひとときを提供したいと思ってる」 「学校をまわって、子どもたちにも見せてあげたいですね。天体望遠鏡もセットにして、屋外での観測もやりたいな」  すっかり乗り気の祐也に、和正は嬉しくなった。 「で? 俺の脱サラに賛成してくれるのかな? まだ答えを聞いてなかったけど」  それには、口を少しとがらせる祐也だ。 「もう。聞かなくても解るでしょう? こんな素敵な提案を出しておいて」  大賛成です、と祐也は和正の胸に飛び込んだ。 「僕は、和正さんにどこまでもついていきます!」 「ありがとう、祐也」  二人、顔を見合わせて微笑んだ。  そして自然に、キスをしていた。

ともだちにシェアしよう!