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01-3
どれくらい歩いただろう。今いるのが森のどこらへんなのかもわからない。頭がおかしくなりそうだ。先の見えない森に、心がくじけそうだった。
迷子になったときはその場を動かないのが鉄則。子供でもわかることだ。
それに先ほどから、シュルシュルと衣擦れのような音が聞こえている。大蛇でもいるのかと、気を張り続けて頭も痛くなってきた。
「こんなことなら入り口で待っていればよかった……」
後悔しても遅い。足取り重く、それでも先へ歩を進めるノエルの背後――細長い影が忍び寄る。
「う、わぁ!?」
しゅるりと細い足首に巻きついたそれは緑色の触手――植物の蔦のようだった。
油断していたノエルは、勢いよく足を引っ張られて宙吊りにされる。すかさず剣を抜いて振り切り、難なく地面に着地するが身の丈を超える影がノエルを包み込んだ。
ぱくん、と飲み込まれて辺りは静寂に包まれた。
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