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第23話

摂理side 様子がおかしい弦ちゃんの服を着せて俺も身なりを整えた。 「ちー?大丈夫?」 「え?何が?」 笑っているけど中身の無い人形みたいだ…こんなに近くで手を握っているのにここに弦ちゃんの存在を感じられない。 「ちー。」 「んもう!なぁに?きー兄ちゃんそんな困ったような顔して。ごめんって。きー兄ちゃんの家なのにお友だちに迫って。許して?」 「それは別に怒ってないけど…」 「だって。摂理さんカッコいいんだもん!久しぶりに抱かれてみたいって思っちゃった。てへへ!」 穂積と会話をする様子はさっきまでと変わらないように見えるけど…けどやっぱり何だか変な不安が押し寄せる。 実は俺は弦ちゃんの事は結構前から知ってた。それが穂積の関係者だってことを知ったのはそれから随分と後だったが 幼い頃の事件のこともそれを切っ掛けに弦ちゃんがおかしくなったことも…知ってた。 理由は簡単で、俺の父親があの事件の担当刑事だったからだ。そして弦ちゃんが運ばれた病院は俺の祖父がやってたから ニコニコと笑いながら病院で治療を受ける弦ちゃんを見に行ったことも何度もある。 とても綺麗な子だと思った。とても幼いのに妙な色気と言うのかな?それがあった。そんな趣味は俺にはなかったはずなのにそこから気になって何度も会いにいった。 おそらく彼は俺のことは覚えてない。けど何度も会いに行くに連れてとても懐いてくれたのは俺は覚えてる。彼が退院しても通院の度に会いに行ったんだ あれから長い時間が掛かったのに弦ちゃんはあの頃から時が止まったようだ 今日こんなに近くで会ってみて一筋縄じゃいかないことも知った。 俺に出来ることは?…何もないかもしれない。今考えていることを実行すれば弦ちゃんが壊れてしまうかもしれない…けど…一旦壊れたら修復はできるかもしれない。 これをしたらきっと穂積には嫌われるかもしれない。でもどんな手を使ってもどうにかしてやりたい… だから俺は弦ちゃんをとことん傷つける そのために俺の側に置く 「弦ちゃん。俺の家にいこ?そこでエッチしようか?」 「わかった」 「ちょ!摂理!!」 「んま。そういうことだから。カメラとかに関しては俺より詳しいやつを俺は知ってるからそいつに任せる。大丈夫。信用できるやつだから。俺じゃ無くてもいいよね?他の人が弦ちゃんの家にいっても」 「いいよ」 先程までと違い元に戻ったように見える弦ちゃんは笑顔で了承した。

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