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第27話

正直、はーくんが来てからの倒れる瞬間の記憶は曖昧。ただ誰かに語りかけられたような気がしたけど… 「…だれ…なんだろう?変な夢?だったな」 「弦ちゃん。入るよ」 入ってきた相手は摂理さんだった 「摂理…さん…」 「うん。大丈夫?」 「俺は平気。はーくんは?」 「うん…すぐ出てくるよ」 「…よかった」 「良い訳ないでしょ?…何で?何で傷つけられたのに…苦しんでるのにそんなこと言うの?」 「だって俺が受け入れたらはーくんはあんなことしなかった」 「ねぇ。弦ちゃん。もっと自分を大切にしてくれないかな?君刺されそうになったんだよ?」 「だから俺がわがまま言ったからでしょ?」 「何で…君は…そんな…」 「俺がいなきゃいい…」 そのとき病室のドアがノックされた 「どうぞぉ」 「弦ちゃん。」 「あぁ!!つーくん!!朋ちゃんに聞いたの?」 「うん。先約だったんだねぇ。お邪魔してごめん。」 「摂理さん。つーくんだよ」 「「あ!!」」 摂理さんが振り返ると同時に二人して声をあげる。 「各務!!」 「摂理!久しぶり。何でここに?」 「知り合い?」 「あぁ。高校の同級生だ」 「え?じゃあつーくんはきー兄ちゃん…あ…穂積さんともそうなの?」 「穂積さん?あぁ。バーの?」 「うん。そう」 「穂積さんとは店で出会ったよ?」 「え?」 「俺と穂積は高校時代からの付き合いだけど学校は違ったんだ。部活が一緒でいつも大会で会ってた」 「そなの?勝手に同じ学校なのかと思ってた」 「姉妹校だから合同合宿がかなりの頻度であったから同じ高校みたいなもんだけどね」 「弦ちゃん思ったより元気そうでよかった」 そういうとつーくんは頭を撫でてくれた 「うん。大袈裟だよねぇ。二三日とはいえ入院なんてさ。連日楽しんでたからただの寝不足なのに」 「前にも倒れただろ?」 「あぁ。そだったね。あのときもなんでもなかったよねぇ」 「そうだった…ね…」 「各務何か知ってるの?」 「そのときは俺が病院に弦ちゃん送ったからねぇ」 「もう付き合い長いんだ?」 「そうだね。長くなってきたよね?弦ちゃん」 「うん!大人になってからの友達で一番長くて深いよね?」 「あははっ!そうだな」 「ちー…!!!あ!つーくん。お元気?」 「穂積さん。ご無沙汰してます」 「いつもちーと仲良くしてくれてありがとうね」 「えと…穂積さん?」 「ああ。俺とちー…弦ちゃんは従兄弟だよ。みんなには秘密ね?」 「はい。通りで似てると思ってたんですよ」 「来てくれてありがとう。ちーが仲良くできて信頼してる人は少ないから君と朋ちゃんの存在はとっても大きな支えになってるよね?ちー」 「うん!」 「これからもよろしくね」 「はい」 「ねぇねぇ。ちー兄ちゃん!」 「ん?」 「二人が高校時代の同級生って知ってた?」 「知らなかった!!そうなんだ。どんな子だったの?高校時代のつーくん」 「各務はプリンスって言われてた。誰にでも分け隔てなく接するし全部完璧だったし。」 「っぽいね!!つーくんカッコいいし優しいし俺もだぁいすきだよ」 三人の面会者が集まり部屋はとても賑やかだ。 そこへ仕事を終えた朋ちゃんもやって来て楽しくお話しした 「あ。摂理。部屋のカメラどうなったの?」 「うん。それは全て回収した。弦ちゃん眠っている間に行ってきたよ」 「誰かに頼むんじゃなかったの?」 「うん。一緒にはずしてきた。だから安心してね。あとこれはごめんね。勝手だけど大家さんに話して鍵変えてもらったよ。だっておそらく相手は合鍵勝手に作ってるはずだから。はい、これ新しいやつね」 「何から何までありがとう。費用は?」 「いいよ。いらない。その代わり今度ご飯付き合って」 「ありがと」

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