28 / 74

第28話

摂理side あのあとはーくんとやらを警察へ突き出したが証拠不十分のためすぐに出てくるだろうと他の刑事に言われた。 弦ちゃん…君はまた苦しめられるのかな? 状況を穂積に話して穂積が預かっている弦ちゃんの家の鍵を預かりすぐに向かった。 少しでも早く何かしたかった。 「もしもし。俺」 『摂理。何?』 「友達の家に隠しカメラと盗聴器が仕掛けてある。それも複数だ。取り外すの手伝ってくれないか?」 『わかった。どこへ向かえば良い?』 弦ちゃんの住所を伝え落ち合って部屋にはいる。 男の部屋にしては綺麗にされてて無駄なものは何もない。モデルルームのようだ。まるで…そこに弦ちゃんの存在がないみたいだ…いつでも消えられる…そんな風に感じてしまう 「摂理。どうした?」 「なぁ。昔さじいさんの病院にいた千雪くん。覚えてるか?」 「あぁ。あのお前がよく会いに行ってた。人形みたいな」 「そう…。ここ…彼の家なんだ…」 盗聴器やカメラの妨害をする電波を流しながら話す 「その千雪くんがストーカー被害にあっていて。今日そいつ捕まえたんだけどさ…」 「現行犯じゃないしすぐ出てくるだろ」 「うん…そうなんだ…何でまたあの子が苦しめられなければならない?本人は苦しんでいることすら気付かず…笑ってるけど…そのせいか倒れたんだ…」 「俺は医者じゃねぇから何とも言えないが…まぁ。出来ることがあれば言え」 「あぁ。頼みがあるんだ…」 部屋に取り付けてあった夥しい量を全て片付けて部屋を後にしすぐに病院へ向かった 弦ちゃんはもう元に戻ってて相変わらずニコニコと人好きのする表情をしてた その姿に胸が締め付けられる… 「摂理…さん…」 「うん。大丈夫?」 「俺は平気。はーくんは?」 「うん…すぐ出てくるよ」 「…よかった」 心底安堵したようにうつ向く弦ちゃん。どうして?何で… 「いいわけないでしょ?…何で?何で傷つけられたのに…苦しんでるのにそんなこと言うの?」 思わず声を荒らげていた 「だって俺が受け入れたらはーくんはあんなことしなかった」 「ねぇ。弦ちゃん。もっと自分を大切にしてくれないかな?君刺されそうになったんだよ?」 「だから俺がわがまま言ったからでしょ?」 「何で…君は…そんな…」 「俺がいなきゃいい…」 何で!?何で!?そんなこと言うの?悲しくて苦しくて俺の方が泣きそうだ。このままだと… そのとき病室のドアがノックされた 何事もなかったかのように弦ちゃんはそれに答えた 「どうぞぉ」 「弦ちゃん。」 「あぁ!!つーくん!!朋ちゃんに聞いたの?」 相手の顔を見るとより一層嬉しそうにしている。何だか妬ける… 「うん。先約だったんだねぇ。お邪魔してごめん。」 でもいい人みたいだ… 「摂理さん。つーくんだよ」 どうしたものかと考えていると弦ちゃんが相手を紹介してくれた。挨拶しようと振り返って見た相手に驚く 「「あ!!」」 「各務!!」 高校時代からの友人だった

ともだちにシェアしよう!