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第31話
朋悠&各務side
「やだ…いかないで…やだ!やだ!」
ぶるぶる震えながら懇願する弦ちゃん。
「僕…良い子にするから…だから…いかないで…」
弦ちゃんには俺たちの姿が見えてないようだった
「僕…きー兄ちゃんになれるように頑張るから…行かないで」
男は振り返りもせず立ち去っていく
「僕の何がダメだったの?」
その瞬間弦ちゃんは意識を失った。
「…やっぱり…俺のせい…」
「穂積のせいじゃねぇよ。相手がおかしいんだ。お前は何も悪くない」
「だって!!俺そんな状態なの知らなかった!!」
「穂積」
「知ってたら!知ってたら…」
「知ってたところでお前に何ができる。弱いお前に何ができる?そのとき側にいたのが二人だから大事には至らなかった。お前だったら?きっと逆のことが起きてるはずだよ。目の前でお前が連れ去られたら?そしたら弦ちゃんはもっともっと大変なことになってる」
「相手のこと…検討ついてるんですか?」
「…俺の…同級生だった奴…名前は…寺崎 凜冬…今日のあいつ…はーくん…寺崎 春海の兄だ…寺崎は…俺の…ストーカーだった…」
「え…」
「俺が高校の時…まだちーは5歳…あいつは…そのちーを俺の代わりにするため…連れ去り…監禁し…そして…」
穂積さんの綺麗な顔が歪んだ…
「…そんな…」
「なんで…今さら…なんで…」
「穂積。落ち着け」
「だって!!俺の…俺のせいで…」
「悪い各務。穂積の彼氏呼んでも構わないか?」
「あぁ。構わない」
取り乱す穂積さんを初めてみた…
寺崎 凜冬…どこかで聞いたことのある名だ…
「…凜…」
「朋?」
「凜…?ねぇ…もしかすると俺その子知ってるかもしんない…」
「でもあのときわからなかったじゃないか」
「うん。だって…あんな顔してたの知らなかったの…俺の知ってる凜は…いつも前髪長くて俯いてて…」
「朋ちゃん…知ってるの?」
「…俺のバイト先の先輩だった。俺より10以上上なのに何かと気があって…仲良くしてたの。でも突然音信不通になって…バイトも何も言わずに来なくなって…そのすぐ後だよ。俺が弦ちゃんに出会ったの」
「まさか…」
「その頃には…ちーを見つけてた?」
「そうかもしんない…俺と弦ちゃんが一緒にいたから…立ち去ったのかな…」
「朋の顔知ってたから…」
「…だったら逆にすぐには動けないかもしれない…あいつは…友達と言うものがいなくてそういうの憧れてた…いつも性対象としてしか見られなくて…朋ちゃんに出会えたことで友というものを知り…自分のやってることはおかしいことに気づいたのか?」
「だったらなんで…?」
「わからない…わからないけど…はっ!!!今…弦ちゃんが危ないかもしれない…」
そのときインターフォンがなって穂積さんの恋人さんがやって来た。
「穂積さんはここにいて。俺たちが行ってくるから!俺ならこの時間でも入れるから!だからここにいてね!」
「俺もいく」
穂積さんは一緒にいくっていったけど
「樹優…ダメだ…そんなんじゃ足手まといになるだけだ」
恋人さんが止める
「でも!!だって!!俺のせいなんだよ!久さん!!俺のせいで…」
「大丈夫…摂理もいるだろ?摂理に任せれば大丈夫」
パートナーさんに摂理さんが連絡したとき穂積さんの状況を伝えるためおそらく詳細を話したのだろう。
今どんなことになってるのか恋人さんは理解しているようだった
「穂積大丈夫だ。俺が何とかしてやるから。ここにいて…」
「…わかった…」
「久ちゃん…穂積のことお願いね。」
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