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第44話
「ちーーー!!!」
家につくときー兄ちゃんが泣きながら抱きついてきた
「ごめんなぁ!ごめんなぁ…」
「何が?」
「だって…寺崎は元は俺の…」
「きー兄ちゃん悪くないもん。別に気にしてない。かわいかったし。別に何もされてない」
「そういう問題じゃねぇよ」
「んもう!心配しすぎ。大丈夫」
「お前は!」
「樹優。落ち着け」
「いやだって久ちゃん!!」
「落ち着けって。お前がそんなに大声出したって何も変わらない」
きー兄ちゃんの隣に寄り添うように見知らぬ人がいた。落ち着いた感じの人。
「ご挨拶が遅れてすいません。初めまして。新谷 久則です」
「あ。初めまして…弦野 千雪です。あなたが…」
「えぇ。樹優のパートナーです」
久則さんはとても優しそうな笑顔。仕事のできる大人の男!って感じの人だった。
「年上?年下って聞いてたから」
「樹優より年下だよ。千雪さんよりは随分上だけどね」
「ええ!?いや。だって摂理さんが逆らえないって!」
「あぁ…そんなこと言ってた?侵害だなぁ…」
そういうと摂理さんをみてにやりと笑う。
そうしたら摂理さんがびくりと肩を震わせた
あ…わかった…この人多分キレたら怖い人だ…目が違うもん…
「無事で良かった」
そう言って笑いかけると久則さんは俺の頭を撫でた
「久さん…千雪に…触らないで…」
「久しぶり。天理」
「気安く…呼ばないで…」
「相変わらず俺のこと嫌いなんだね」
「…嫌い…」
「このブラコン」
「うるさい」
「ん?」
「あぁ。ごめんね。俺たちの関係性わかんないよね。えっと天理は俺の後輩で、摂理は先輩なの。で摂理の家とは昔から仕事で仲良くしてもらってるんだ。摂理と天理が兄弟なの聞いてない?」
「兄弟!?似てない!!」
だって摂理さんはとってもフレンドリーですごい顔もいい。けど坂本さんは…ん?んん?
「坂本さんっ!!」
「…何してる?」
坂本さんの掛けてたメガネを奪って前髪を上げる
「あ…あ…か…可愛い…」
「ちょ…やめ…」
「何でいつも顔隠してんの?ねぇねぇ。勿体ない!!こんなに可愛いのに!!」
「…」
「それが嫌なんだよねぇ。天理。実はね高校時代色々あってね」
「手を…離してくれないかな?弦野さん…
久さん…俺がちゃんと説明する。後で…だから言わないで」
「わかった」
「取り敢えず俺無事だったし帰るね」
「でもっ!ちー!今日は泊まっていけばいいのに」
「きー兄ちゃんお仕事でしょ。大丈夫だよ。なんともないんだから」
「弦ちゃん。今日から俺の家に暫く住むの。一緒に帰ろ」
「そうだった。わかった。そういうことだから心配しないで。じゃあね。きー兄ちゃん。久則さん。あれ?坂本さんとは別?」
「あぁ。俺は違うところに住んでる」
「こないの?」
「天理も一緒がいい?」
「うん」
「わかった。じゃあ天理も行こうか」
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