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第49話
摂理side
急いで呼び出されたらしい場所へ向かうと先客がいた。各務と…
「なぁんか楽しそうなことしてますねぇ。みなさん」
「あっ…新谷…」
そう。久則だ。久則はその当時、先輩たちを差し置いて生徒会長を勤めていた。俺も生徒会役員だった。家でも学校でも何かと関わりがあったのだ
久則の家は権力者。本人も頭脳明晰で、腕っぷしも強かった。誰も久則には敵わなかった
「ん?まだ続けられんの?ねぇ?せ、ん、ぱ、い」
久則が笑いかけると男達は顔色を変え、走り去っていった
そして…
「天理くんだよね。摂理に聞いてるよ。ねぇ。摂理…遅かったね…もっと早く駆けつけるべきだったんじゃない?取り敢えずいったんそこに正座しよっか」
「は?」
「なぁに?」
久則は年下なのに逆らえない何かがある。促されるまま正座した
「ねぇ。どういうこと?何で早く言ってくれなかったの?こんなに可愛い弟君がこの学校へ来たこと。早くいってくれればどうにでも対処できたよね?こうなる前に。そうでしょ?摂理」
「…ごめ」
「違う…摂理は悪くない…俺が弱いのが悪い…摂理にそんなことさせないで…」
「そうやって天理君が優しいから摂理が付け上がるんだよ。」
「摂理はそんな人じゃない」
「今回は未遂には終わった。けれど君は犯されそうになったんだよ?」
「俺は…慣れてる…だから…平気…」
そう言う天理を平手打ちする久則
「おまっ!?何やってんだよ!」
突然のことに驚いて思わず大声をあげていた。
「聞き分けがない子にお仕置き。過去に何があったのか今のでよくわかった。だからといって自分を粗末に扱うものではない。わかるかい?天理」
「お前に何がわかる…いつも高いところから見下ろして胡座をかいてたお前に何がわかる…俺の苦しみ…摂理の苦しみがお前になんかわかってたまるか」
「…そうだね…。それは最もだよ…だから自分自身にも腹が立っているんだ…気付けなかった…何度もあの屋敷には招かれたのに…気づけなかった…悔しくて苦しくて自分が嫌になる…けど…天理。君が自分をそんな風に言うのは俺はどうしても許せない…だから…」
そう言うと跪きそっと天理を抱き締めた…
「これからは…摂理だけじゃない…俺にも君を守らせてくれないだろうか?」
「…いらない…守られなくったっていい…でも…強くなりたい…逞しくなりたい…だから…守る術を…守れる術を教えてくれないだろうか」
「くすっ…わかったよ…叩いて悪かったね…」
「いや…いい…俺も…もうあんなこと…言わないから…」
「よかった。あ…そうだ…これ…あげる」
「これは…」
「摂理に聞いてたよ。このお菓子が好きなんでしょ。俺もこれ好きなんだ。だからこれから教えてあげる代わりにもらって」
「それ逆じゃね?」
「まぁまぁ。細かいことはいいからさ。ね?」
「ありがと」
それから久則に鍛えてもらって今の体と力を得た天理に誰も何もできなくなっていった
「天理は…あの頃から随分と強くなった…だから…今だと思う…千雪には恐ろしいこと…だけど…天理がいてくれれば…きっと…」
「でも…お前…」
「各務の言いたいことは…わかる…けどね、俺よりも千雪をどうにかしたい…俺は…どうにでもできるから。でも…そうだな…落ち込んだら慰めてくれる?」
ごめんね。千雪…これからお前を俺は追い詰める。ごめん…
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