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第50話
「いやだっ…これは…いやだ…ごめんなさい…ごめんなさい…」
怖い怖い怖い…
目隠しをされて後ろ手に縛られて身動きを封じられる。それがとても恐ろしい。だってこの後は必ず沢山痛いことをされるから…痛いのはやだ…見えないのもやだ…何も聞こえないのもやだ…
「いやだ…助けて…やだ…やだ…ごめんなさい…ごめんなさい…凜冬…ごめんなさい…」
「…」
誰からも返事はなくて俺を弄る手だけが動き回る
「いやだ…」
「…思ったより…早く…恐怖を見つけたね…千雪ちゃん…ごめんね。怖かったね」
「…いやだっ!!さわらないで!」
「…わかった…ごめん…ちょっと待ってて」
人が離れていく気配がする。
「いやっ!いやだっ!ごめんなさい!…ごめんなさい!!一人にしないで…何してもいいから!痛いことしてもいいから…だからっ…!」
「…待ってて」
「いやだぁぁぁぁ!!!!!」
パタンとドアが閉まる音がした。助けて…やだ…怖い…一人はいやだっ!
追いかけたいのに動けない。ただ只管ベッドの上で震えるしかない
「あけて…やだ…こわい…こわい…誰か…助けて…」
怖くて怖くてたまらなくて涙が止まらない
「千雪!」
その時扉が開き誰かが歩みより強く抱き締めてくれた。
「もう大丈夫だ…」
声を聞いたらすーっと力が抜けていく…知ってる…この温もりを…俺は…僕は…知ってる…
その時パチンって何かが弾けてぶわーって映像が頭の中で流れた…あぁ…これは…
「天理…くん…」
「千雪…」
「会いたかった…」
「うん…ごめんね…助けてあげられなくて…」
大好きな…お友達…天理君だ…天理くんはそーっと目隠しを取ってくれて縄も解いてくれた…
「天理くん…」
「…助けられなくて…本当にごめんね…俺わかってたのに…君が千雪ってこと…ごめん…また助けられなかった」
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