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第54話

暫く天理くんと抱き合い啄むようなキスを繰り返す 「ふふ…天理君…可愛い顔だね」 天理くんはぽーっとして顔が真っ赤だ 「もしかして慣れてない?」 「あぁ…キスとか色々は…無理矢理されたことしかないし大人になってからは何の縁もなかったし…いやか?」 「ううん。可愛い。これまでたくさんの人相手してきたけど天理くんみたいな人はいなかったからすごく新鮮」 本当に可愛い…あの時…天理君がお菓子食べて恥ずかしそうに俯いたときの顔と似てる。 すっごく可愛い。熊みたいな人って思ってたけど… 「千雪?」 「まだ足りない…だから…俺に身を委ねてて」 流石にここでしちゃいけないのはわかったから最後まではしない。けどまだ天理くんを離したくない 「天理君さ」 「ん…」 「抱いたことってあるの?」 「…あぁ。無理矢理突っ込まされたことはあるけど…でも…痛かったことしか記憶にないんだ」 「じゃあ嫌な記憶塗り替えていかなくちゃだね」 「千雪がしてくれるんでしょ?」 「うん。いいよぉ。天理君に大切な人ができるまで俺で練習させてあげる。試しに女の子抱いてみるのもいかもしんないね。女の子相手はあるの?」 「あぁ。あるよ。無理矢理させられた中にいたから」 「へぇ。男が良い?女が良い?」 「さっきもいったが俺はどちらも嫌な記憶しかない。だからわからない」 「じゃあ早くいい人見つかると良いね」 「千雪がいい」 「くすっ…ありがとう」 本当に天理くんは優しいな。こんな何も返せない俺に嬉しいことを言ってくれるなんて。昔から変わってない。 天理くんは昔から饒舌な方ではない。いつも一緒に来てた摂理くんの方が饒舌だ。摂理くんといたら楽しかった。いつも笑えてた。けど天理くんといるとなんだかいつも心が凪いでいた。何か似たようなものを感じてきたから。 天理くんに何があったのか俺にはわかんない。けどきっと天理くんは色々経験してきたのだと思う。 だからこそ挨拶すらできない人になってしまったのだ。

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