57 / 74

第57話

「あの日千雪に会わせてくれた摂理には今も感謝してる。摂理がいたのも勿論だけど千雪に会えたから俺ここまで生きてこられたよ。だって俺は苦しかったけど千雪だって色んなものに立ち向かってるのかな?そう思ったら生きていこうと思えたんだ、。いつかまた千雪に出会えたらちゃんとお礼言いたかった。ありがとう」 「俺なぁんもしてないけど?」 「沢山笑いかけてくれたでしょ?語りかけてくれたでしょ?碌に言葉も発さないで笑いかけることすらできない俺に。摂理と千雪。二人がいて本当に救われた。だからね、仕事始めて千雪が来たときは本当は飛び上がるほど嬉しくて…すぐに話しかけたかったけど…千雪は人気者で誰からも好かれて…そんな千雪に愛想も何もない薄汚い俺が話しかけたら千雪まで嫌な思いするんじゃないかって思ったら…結局話しかけられなくて…挨拶も…みんなには出来ないのに千雪にだけするのもなんか変な気がして…嫌な態度になった…ごめん」 「確かに感じ悪い人だなぁって思ってたよ。ずーっとね。体も大きいからみんなは怖いって思ってたし。でもね。あの日お菓子の時ね、何か俺が変なんだよ。怖い人に見えてたはずなのに可愛くて仕方ない。体もうずくしどうかしてる。でもね、わかったよ。天理君だったんだもん。そうだよね。俺の大切な人だもん。きっとあの日どこかで懐かしさを感じたのかもしれないね」 「…うずくって…?」 「うわぁ。また真っ赤になってる。可愛い。うずいて仕方なかったから天理くんおかずにしちゃった。てへっ」 「お…おかずっ!?えぇ?」 「俺さ天理君なら抱けるや。あ。でも抱きたい?」 「いや…あの…ちょっと…えと…」 「ふふっ…本当に…見た目と違って可愛いね。けど…その姿はやっぱりみせたくないかもな…」 「千雪…あのさ。取り敢えず…服…着てくんない?」 「あぁ。すっかり忘れてた。よいしょっと」 「摂理も心配してるから一旦…」 「うん。摂理くんとお話しする」

ともだちにシェアしよう!