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第68話
そんな生活を始めてしばらくたった。
今は摂理君の家を離れ俺の家と天理君の家を行き来し
最近の天理くんは頑張ってみんなに挨拶をするようになった。そんな変化にみんなは始め驚いていたけれど今は前と比べたら天理くんに変な印象を持っている人も減ってきた。
俺がしつこく天理くんに会いに行ったのも功を奏したみたいだった
休憩時間は相変わらず数分ずれてるけどこれまでは車で昼食を摂っていた天理君が食堂に来るようになって少しの時間だけど一緒に過ごして少しずつみんなに天理くんとの関係も話していった。
天理くんはまだ話しかけられるとビクリとすることもあるけどそれも前よりは収まってきた。このままいったら多分天理くんの良さがみんなに浸透していってもしかしたら運命の人が現れて社内恋愛の末結婚とかあったりして!!
それを思うと嬉しいが沢山のはずなのに胸がチクリと痛むのは…
今日は久しぶりに朋ちゃんと会うことになってて天理くんに朋ちゃんとこに送ってもらって近況を伝えると何故か目に涙を溜め始めた
「朋ちゃん?大丈夫?俺変なこといった?体調悪い?」
「ううん…嬉しいの…それはさ…恋だよ。」
「恋?」
「嬉しいんでしょ?前の弦ちゃんだったら両手放して喜んで感情はそれだけのはずなんだよ?でも胸が痛むことを知った。それは弦ちゃんが天ちゃんに恋してるから。だからね。余計なこと考えないで天ちゃんに大好きって伝えてみて?」
「伝えてるよ?」
「…ん~…それってどんなときに?」
「え?エッチしてるとき?」
最近は天理君が抱かせてくれるようになった。怯えていたのを少しずつ怖くないよって伝えているところだ。
「その他は?」
「ご飯作ってくれたとき」
「じゃあさ。何もない時…そうだなぁ…ただぼんやりテレビ見てるときとか?伝えてみたことは?」
「え?…あ…ないかも」
「何でもないときにしっかり見詰めて伝えてみて?」
「えぇ?痛くない?それ」
「やってみてよぉ!」
「うん。わかった」
「善は急げだ!まだ近くに天ちゃんいるだろうからお迎え来てもらって」
「えぇ!!今日は朋ちゃんと遊びたかったのに!久しぶりにしよーよー」
「んもう!仕方ないなぁ!」
そんなこんなでいつもみたいに朋ちゃんを押し倒して事に及ぼうとしたんだけど
「…あれ…」
「…」
俺の俺は戦闘体制に入ってる。なのに天理くんの顔がちらついて先に進めない…
「くすっ…ほら。天ちゃんに連絡して。じゃないと天ちゃん今日は試しに誰かに抱かれにいってるかもよ。いいの?」
「やだ…」
わけわかんないけどそれを想像したら涙が溢れて…
「やぁだ…俺だけみてて欲しい…」
「だったら早くしなよ。ね?」
朋ちゃんが菩薩様みたいな優しい顔で俺の涙を拭ってくれる
「天ちゃんのこと…誰にもあげたくないでしょ?」
「でも…俺…」
「大丈夫だよ。ちゃんと好きになってる。なれたんだよ。天ちゃんのこと特別な好きになれたんだよ」
「そう…なの…かな?」
「うん」
そのときインターフォンが鳴った
「ちょっと待っててね」
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