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第70話
「そういや…どうして泣いたの?」
今日は天理君の家に連れてきてもらった。家に入ると心配そうに見詰められてギュってもう一度抱き締めてもらった
「あ…あの…ね」
「ん、」
「朋ちゃんと…色々話してたんだけど…天理君のこと」
「俺?」
そういうと眉間にシワを寄せて怪訝な顔をしてる
「…なに?…俺と…別れたい…とか?」
今度は悲しそうにうつ向く
「ちがっ!!違くて!!」
「…じゃあ…どうして?」
「あの…あのね…」
そうして朋ちゃんと話したことを隠さず話す。
話している最中に妙に頭の中がスッキリしてきて…
「…俺さ…今の天理君のみてたらさ…きっと運命の人が現れてその人のものに天理君がなってしまうんだなって…そう思ったら…気づいたら涙が止まらなくて…だから…あの…」
天理くんは黙って俺の言葉を待っていた
「あの…ね」
「ん」
「ごめんなさい」
「そこで謝罪?何で?」
「だって…俺…他に素敵な人が見付かったらすぐに教えてって言った…それなのに…俺…天理君を誰にもあげたくないって…思ってしまってる…だから…契約違反…」
「…それって…俺を側においておきたいってこと?他の誰でもなく俺がいいってこと?」
「他の人と生きていく天理君なんて…見たくない…見たくないよ…天理君の隣に俺を…ずっと置いておいて欲しい…こんなの…おかしい…だめってわかってる…けど!俺はっ!!」
「…嬉しい…」
「へ?」
「契約なんてそんなの知らない。俺はずっと言ってきたでしょ?千雪以外はいらないって。だから俺は千雪以外の誰のものにもならない。なりたくない。」
「…俺…まだ…不安定なとこあるし…自分勝手だし…言ってることとやってること違うことも沢山だし…それに…」
「俺はどんな千雪も好きだよ。不安定なら俺は支えてやりたいし自分勝手だっておれにとっちゃ可愛いもんだし言ってることとやってること違うのなんてそんなの気にならないし。何より誰も知らない千雪のダメなとこ知ってることが俺はとても幸せなんだよ。だからいいんだよ。」
「俺でいいの?」
「何度も言ってるよ?お前がいいって」
「勝手でごめんね。一緒に…いてください…誰のものにもならないで」
「うん」
そう頷くと天理くんは笑って抱き締めてキスしてくれた
「千雪も俺のものになって。誰のものにもならないで」
祈るように囁かれる
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