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ただ精液をあげるだけの、簡単なお仕事です。①
「あの人おじさんだったから、一晩で一回が限界だったし、味もテクもいまいちだったから、嬉し過ぎる!
まだ僕、ちょっとお腹空いてるんだよね......」
テレテレと幸せそうに笑いながら、言われた言葉。
一瞬釣られてヘラヘラと笑いそうになったが、その内容はよくよく考えてみたら、恐ろしい事この上ないモノだった。
「そうなんだ。
でも俺も、男相手は初めてだし、そんなテクニックとか期待されても困るぞ」
......本当は女の子ともした事がないけれど、そこは敢えて言う必要はないだろうと判断した。
「大丈夫だよ、鈴木くん。
......僕がゼロから色々、教えてあげる」
ペロリと舌舐りする仕草には、いつもの可憐さも、愛らしさも皆無。
......やっぱくっそエロいんだけど、コイツ。
そこで俺は、ようやく思い出した。
昔ネットで読んだ小説に出てきた、男の精を餌にする女型のエロエロモンスター、『サキュバス』。
その子の見た目は可愛らしかったが、いやらしかった。
......めちゃくちゃ、いやらしかった。
だから俺はその小説に、幾度となくお世話になった。
『インキュバス』と名前も似てるし、コイツ、それの男版じゃね?
......こんなのに調教(?)されたら、俺もうきっと、お婿に行けないっ!!
ちょっと怖じ気付き、肘の力だけで後退しようとしたのだけれど。
......そのまま俺は押し倒され、唇を奪われた。
口内にトロリと垂らされた、粘り気のある唾液。
それはハチミツなんかよりもずっと芳醇な薫りと甘さで、一瞬の内に俺の脳と体を蕩けさせ、熱くさせた。
「僕の唾液には、強い催淫性があるらしいから。
そこら辺の女の子とヤるより、ずっと気持ちよくしてあげるね?」
クスクスと、楽しげに。
......ルームメイトは俺が見た事のない卑猥な顔で、笑った。
***
首筋に、ねっとりと這わされる舌。
耳元で囁く、男にしたら少し高めの、可愛らしい声。
俺の下半身に手を伸ばし、うっとりとした様子で彼は言った。
「アハ、もう硬くなってる。
......嬉しい、頂きます♪」
カチャカチャと音を立ててベルトを外し、制服のパンツと一緒に、下着まで下ろされた。
「いい匂い......美味しそう」
クンクンと匂いを嗅ぎ、スリ、と寄せられた頬。
たったそれだけの事でゾクゾクして、体が震えた。
「最初は刺激が、強過ぎるかもだけど。
......慣れたら僕以外では、逝けなくなっちゃうらしいから。
鈴木くん、ごめんね?」
まるで悪いだなんて、思っていない癖に。
......淫魔がまた、クスリと妖艶に笑った。
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