8 / 10

需要と供給のバランス①

「おはよう、鈴木くん!」  その、翌朝。  天使みたいに愛らしい声で、高橋が俺の事を起こした。 「ん......、おはよ。  ってお前、朝から何してんだよ...っ!?」  彼が朝の、挨拶をした場所。  それが、問題なのである。  ......何でコイツ、股間に顔を埋めながら、爽やかに言ってるんだ。 「何って......朝食?」    ペロリと舌舐りをして、こてんと首を傾げる、ルームメイトのインキュバス。  ......やっぱエロ過ぎんだろ、コイツ。 「あは......もう我慢汁が出てきた。  時間がないから、今は上のお口で頂きまーす!」  なんつー事を言うのだ、ホント。  でも寝起きを襲われたモノだから、抵抗する余裕もないまま、与えられる刺激に溺れた。 「ん......っ、高橋、待てって......っ!  くぅ......っ!」  口先だけの、抵抗。  彼から分泌される唾液は、キスだけじゃなく他から摂取してもアウトなようだ。  ヤバい、こんなの......絶対に、癖になる。  てかもうこれ、手遅れかも。  このド淫乱の、くそビッチモンスターがっ!!  ぁ......でも、気持ちい......。  彼の後頭部を手のひらで押さえ付け、少し乱暴に揺らす。  でも高橋はそれすらも余裕な感じで受け入れ、軽く先端に吸い付いた。  ガクンと大きく、体が弓形にしなる。  そして吐き出された、俺の精液。    それをゴクンと飲み干して、淫魔は口元を指先で軽く拭い、嬉しそうに言った。 「ご馳走さまでした。  また夜も、よろしくね」  欲望を満たしたからか、魔物の本性はすっかりなりを潜め、天使の如く無垢な笑顔を浮かべるインキュバス。  しかもちゅっと音を立て、頬にキスをするなんていうオプション付き。  ......くそ、ズル過ぎる。    朝一で貪られたせいで、ちょっと気だるくて、ベッドの上で脱力する俺。  そんな俺を立ち上がって見下ろして、スッゲェ普通のテンションで言われた。

ともだちにシェアしよう!