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第5話
寮内に入りエレベーターで3階へ。
S寮が高級ホテルだとしたら、こちらは普通のマンションのような感じ。
意外にも綺麗で掃除は行き届いている。
流星さんの手腕かな?綺麗好きだもんな…と思いながら、一番端の部屋へ。
カードキーで鍵を開け部屋に入るとキッチンとリビングがあり奥に扉が2つ。
風呂とトイレもあり、S寮と同じような作りだが全体的に小振りでシンプル。
「F寮は基本2人部屋なんだけど、とりあえず大雅はこの部屋一人で使う事になるから」
奥の左手の扉を開き手招きをして
「こっち使って」
清潔そうなベッドと机、小振りだがクローゼットもある。窓にはベージュのカーテン。
広くはないがキレイでシンプルな部屋だ。
後ろから静が
「とりあえずここに置いとくぞ」
ダンボール二箱をクローゼットの前に置く。
「あとは、何時くらいに荷物届くようにしてる?僕この後ちょっと予定あるんだよね〜」
カーテンと窓を開けて流星が振り返った。
「あ、もうこれだけだから大丈夫だよ」
机にタブレットが入ったカバンを置きながら答える。
「……。相変わらず物に執着しないんだねぇ」
「そうかなぁ?必要な物があったらそん時また買うかなんかするし」
今はこれだけあれば十分じゃない?と呟きながら窓際に行く。
「あ、コッチ側は林なんだね」
窓から景色を覗くと心地良い風が入ってきて髪を揺らした。
その時目の端でキラっと何かが光ったように見えたが、気のせいかな?と窓を閉めた。
リビングに戻ると流星が
「カードキーはコレね。使い方はS寮の時と同じだよ。スペアはコッチ。無くすと手続きがめんどくさいからね〜。」
カードキーを受け取ると「ん」と静にスペアを渡す。
「相変わらず仲良しだねぇ。あとF寮の食堂は1階の大ホールね。利用の仕方はこれもほとんどS寮と同じだけど、あっちと違って常時人がいる訳じゃないから、食事が出るのは基本朝と夜だけ。食堂で食べるなら時間は守ってね」
S寮ではいつでも食事が出来るようになっていたのでそこはちょっと差があるんだなと
のんびり思う。
「お昼のお弁当を頼みたかったら前日までに連絡したら朝受け取れるから。もし時間が合わない場合は学食の方でも受け取れるから、タブレットで連絡して」
「了解〜」
「あとは、門限だけど通常は8時ね。部活とか委員会とかで遅くなる時はタブレットで連絡して。S寮と違って守衛がいる訳じゃないから、扉閉め切っちゃうからね」
確かに、入り口付近にも誰も居なかったなぁと思っていると
「連絡無しで門限破ると寮内には入れなくなるから気を付けてね〜あと罰もあるからね」
ニヤリと人の悪い顔で流星が笑う。
「罰って…子供じゃないんだから…」
「ここにいる間はまだまだ皆子供ですぅ。
ちなみに罰はその時々で僕が考えるから〜」
楽しそうに話す流星の後ろで静が呆れたように溜息をついていた。
「って事で、F寮の説明は以上かな〜。何か聞いときたい事ある?」
「特に大丈夫かな。またわかんない事あったらその時に聞くよ」
「オッケー。あ、あと今日夜第一ホールに皆集めるから顔合わせの挨拶だけしてね〜。時間はまた連絡するから」
「了解」
「じゃ、僕は予定があるからこれで。あ、静はいつでも僕の部屋に来てもイイから」
そのうち…ね…と、ウィンクして静の頬を艶かしく撫でると颯爽と部屋から出て行った。
「狙われてんなぁ」
「………」
「……学食行く?」
「……おぅ」
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